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第119話 話を広める

夕食を終えた後にミロアはバーグとこれからのことを話し合う。



「お前とオルフェとの婚約の話は早速、明日にでも学園に広まることだろう」


「明日ですか? いくら何でも早すぎはしませんか? たった一日で私達の婚約の話が広まるものでしょうか?」


「自然に広まるのを待つつもりはないだけだ。私の伝手で意図的に婚約の話を流すのだよ」


「え?」



レトスノム家には『陰』と呼ばれる特殊な集団がいる。彼らは裏方の仕事をこなす役割を担うのだ。レトスノム家のために情報を広く流すこともその仕事の一つと言える。



「まずは、王家から婚約のことを報告し、学園にも……いや、学園には私が何か言う前に広まるかもしれんがな」


「?」



王家に伝えれば、当然のように王子であるガンマも知ることとなるはずだ。そうなればガンマの性格を考えると確認のためにオルフェを探し出して問い詰めたり、その前に側近や取り巻きの者達に言いふらすことだろう。



「それにオルペウス殿も知り合いの貴族にも手紙で伝えるそうだ。学園も噂で持ち切りになるはずだ」


「オルフェの父君もそこまでしてくれるのですか?」


「まあな……」



オルフェの父オルペウスが手紙で伝える相手は、オルフェとの婚約を打診してきた貴族。つまり婚約を断ると伝える際に、ご丁寧に断る理由も伝えるわけだ。



(オルペウス殿は一石二鳥だと言ってはいたが、あのブラッド家の令嬢のことを考えると……これはミロアに言うべきか悩むな)


「オルフェも明日からは学園を休むことになっている。学園における貴族の特別休学で少しの間だけ屋敷で過ごすことになったからな」



国の若い貴族は、婚約が決まった際に少しの間だけ学園を休学することが許される。ただ、それは上級貴族だけであり、そもそも婚約を決まったから学園を休む貴族は滅多に見ない。下手をすると、ミロアとオルフェが最初の一組ではないかとさえ第三者は思うだろう。



(婚約したから学園を休めるなんて……この国ってどうなってるんだろう……)


「お父様、オルフェが学園に戻る日は、もしかして……」


「ああ、お前と一緒の日だ。特別休学にしては長い休みになるが、せっかくだから一緒の日がいいだろう?」


「……流石、お父様ですね」



つまり、ミロアもオルフェも今から約一週間後。より正確に言えば八日後に学園に復帰するわけだ。



「一緒に学園に復帰……オルフェと一緒なら心強いですね」


「そういうことだ。……もう遅いから話の続きは明日にしよう」


「そうですね」


(興奮して寝れないかも……)





ミロアが目覚めてから二十三日目。昨日のことで中々寝付けなかったミロアの機嫌は、特に悪くはなかった。昨日のことを思い出しただけですぐに笑みが浮かぶのだから。



「……遂にオルフェと……うふふふ。後一週間……」



そして、ミロアはこの日も家族と楽しく過ごすことになる。だが、学園の方は非常に騒がしくなるのであった。


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