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第114話 婚約はすぐに

イーノック家の屋敷に到着したミロアとバーグ達は、事前連絡もしていないのに丁重に迎えられた。当主のオルペウス・イーノックと息子のオルフェが直々に出迎える形で。



「これはこれはバーグ殿、よくぞ我が家にお越しいただきました」


「いいえ、事前連絡もなしに訪問するなどという無礼を許してもらい感謝します」



オルペウス・イーノックが笑顔でバーグに挨拶し、バーグは謝罪と感謝の言葉を口にする。一方、ミロアとオルフェは緊張して互いの父親を見守る。特に、オルフェの緊張は大きな物だった。ミロアはともかくバーグは格上の大貴族なのだから。



「最大限のおもてなしをご用意したいところですが……よほどの事情がお有りのようですね。まずは話を聞かなければならないのでしょう?」


「流石に話が早い。貴殿ならば私の意図をすでに理解されていると存じますが……」


「勿論です。最終的には若い二人の決断に委ねることになりましょうが……」



バーグとオルペウスは子供たちを……ミロアとオルフェを温かい目で見やる。ミロアはその意味を理解しているからか思わず笑顔が溢れる。オルフェは何も知らないから首をかしげるしかなかった。





数時間後。ミロアとオルフェに婚約はすぐに決まった。



「オルフェ、不束者ですがこれからは婚約者として、未来の伴侶としてお願いしますね」


「ハイ、コチラコソ、ヨロシク?」


「バーグ殿、これからは親戚ですな」


「そうですな、これからもよろしくおねがいします」



イーノック家の屋敷から出たミロアとバーグは、オルペウスと未だに頭が追いついていないオルフェに見送られて帰ることとなった。本来、婚約の話し合いが半日もしないで決定するのは早すぎるし、格上の貴族が帰るにしても早すぎるのだが、レトスノム側もイーノック側も気にしなかった。互いに事情を知っているだけに少しばかり常識外れなことも気にならないのだ。



「ところで、オルフェ君はまだ状況が飲み込めていないようで?」


「まあ、こういうことにはまだ慣れておらず……息子にはゆっくり聞かせて整理させますのでお気になさら……いや、これを理由に学園を休学するのも手か?」


「それは流石に無理があるのでは?」



互いに冗談を言い合うバーグとオルペウスをよそに、ミロアはオルフェに耳打ちをする。



「オルフェ、貴方のおかげで私は新たな人生を生きることができるわ。本当にありがとう」


「?」


「私を幸せにしてね?」


「!」



ミロアの言葉にハッとしたオルフェは、さっきまで放心状態に近い状態からはっきりした意識を取り戻した。それも顔を真っ赤に染めたうえで。



「も、勿論だ! ミロアは俺が幸せにする!」


「「「っ!」」」



大声でそう宣言したことで大人たちにも目の前のミロアにも温かい目で見守られるオルフェは顔を赤く染めたまま固まってしまった。



「ふふふ、嬉しいわ。そこまではっきり言ってもらって!」



ミロアは今、幸せな気分になった。




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