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第110話 冷静

オルフェの手紙の内容はとても面倒なことばかりだった。ローイ・ミュドの本性のことは勿論、ミロアとの婚約を交渉しようとしていることやレイダ・ブラッドを振ったことなど気にしないでいられないことばかりだ。



「……前半はどうでもいいけど、後半は面倒すぎるわ。私との婚約に向けて本格的に動き出したり、レイダ・ブラッドを振ったなんて……」


「考えなくてはならないことが多くなりましたね」


「ええ、過激な男との婚約は嫌よ」



手紙は急いで書いたようであり、おそらくローイ・ミュドがミロアに婚約を迫ろうとしていると知ったオルフェがその直後に書いて送ったと考えるミロア。だとすれば、ミロアに婚約を交渉するまでにまだ少し時間があるとミロアは考える。



(……どうやら、早めに行動したほうがいいわね。遅れるほどこっちが不利になるみたいだし)


「エイル、お父様はイーノック家に私とオルフェの婚約について話し合おうとしているはずよね?」


「はい。今すでにイーノック家に事前連絡を行おうとしていますが、それが何か?」


「この手紙を見るからに、話がこじれる前に婚約を確約するべきだと思わない? すでに学園ではローイ・ミュドのせいで変な噂が立ちそうだし……」


「お嬢様、まさか……」



エイルはミロアのやろうとしていることがなんとなく分かった。こんな手紙を見てしまったミロアは、早いうちにオルフェと婚約してしまいたいと思わずにはいられないだろう。


ならば、どうすればいいか。その答えをミロアは実行しようとしているのだ。先手を打とうというわけだ。



「ええ、今すぐオルフェと婚約して学園にもその話を流すのよ。そして、オルフェには学園に通う際に強い護衛騎士をそばに置くか、私が学園に復帰するまでに一緒に休学してもらうの」


「お、お嬢様!? いくらなんでも無茶っていうか早すぎます!」


「大丈夫よ。オルフェとは気の知れた相手だから少し常識外れなことでも上手く口説けば実現できるはずよ。そもそも、こんな手紙を送ってくるってことはオルフェも私との婚約を遠回しに望んでいると伝えているのではなくて?」


「お嬢様! 一度頭を冷やしましょう!」



エイルはミロアが冷静さを失ったと思った。


ミロアが今やろうとしているのは、今すぐにイーノック家に直接出向いてオルフェとの婚約を確約してしまおうということだ。事前連絡もなしに屋敷を訪問して婚約の打診などは上級貴族として常識外れだ。こんなことが第三者に知られたりすれば常識がなっていないと言われる可能性もある。エイルはそれを危惧しているのだが、ミロアは本気だ。



「私は冷静よ。むしろ、冷静じゃないのは男達の方よ。馬鹿なことをする男達と一々遅れる男の方がね。そんな男達に比べれば私はまだ冷静な方」


「お嬢様……」


「勿論、まずはお父様とすぐに話してからね。まあ、お父様の性格からすると了承してくれると思うんだけどね」



結局、ミロアとエイルはバーグの元に向かって、話し合ってから行動に移すのだった。

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