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第103話 早期復帰?

不安な気持ちを抱え込むバーグを目の前にして、ミロアは更に提案を重ねる。



「もしもオルフェとの婚約ができたら学園への復帰を早めてもいいかもしれませんね」


「な、何!?」


「今の私は身体的にも問題ないどころか以前よりも優れていると言ってもいいですし、不意打ちのように学園に現れれば面倒な方々が動揺して馬鹿なことをして自滅してくれるかもしれませんでしょう?」



学園への復帰を早める、それはミロアが今さっき考えついた作戦だった。だが、突然そんなことを言われても流石にバーグはそこまで承諾はしなかった。



「な、何を言い出すのだ、学園への復帰を早めるだなんて……そ、その、学園側にはすでにミロアがいつ復帰するかは伝えているんだ。それを無視して突然登校するというのは学園側に悪い印象を持たれてしまう……」


「それでは、学園側に早めに復帰すると伝えればいいでしょう」


「そ、それでは不意打ちにはなるまい。情報が漏れるようなことがあれば、台無しになるではないか?」


「むう……そうですね……」



ミロアは首を傾げた。学園の早期復帰と口にした時に、バーグの動揺に違和感を感じたのだ。そもそも学園側にわざわざいつ復帰するか伝えているという話も怪しい。



(……何だか怪しいわね。さては、何か私に隠し事があるのね)



バーグに隠し事があると考えるミロアの予想は当たっていた。バーグには、娘の学園への早期復帰など非常に困る理由があったのだ。



(な、なんてことを言い出すんだ……ゴウルの回復と例の計画がまだだと言うのに……)



実は、バーグにはミロアに伝えていない計画を密かに目論んでいたのだ。その期限はミロアの学園への復帰までと決めていた。それなのにミロアが想定よりも早く学園に復帰するというのなら、それに合わせて計画を変更する必要もある。


それに、閉鎖的な学園の状況を知るために奮闘したミロアの専属騎士のゴウルも回復途中。流石に今のゴウルを復帰させるにはもう少し時間を要する。そして、学園の規定に反しない年齢の専属騎士を選び直すのも今更難しいのだ。



(例の計画はともかく、ゴウルの回復を急がせるか? 『陰』の長からは学園復帰ギリギリまでにはと聞いている。いやしかし、私としてもせっかくミロアが屋敷にいてくれるのに早めに学園に戻すのもなぁ……そうだ!)


「……ともかく、学園への早期復帰は諦めろ。そもそも、そんなことをしてスマーシュが捻くれたらどうするんだ? せっかく仲良くなったというのに」


「お父様、それはずるいですわ……」


「イマジーナもミロアと一緒にいる時間が長いほうがいいに決まっている。そう思うだろう?」


「……そんなことを言われたらもう何も言えませんわ」


(よし、うまくいった!)



仲良くなれたばかりの義母と義妹のことを引き出されてはミロアも黙るしかない。とりあえず、ミロアの学園早期復帰はなしということになった。





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