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第100話 父に説明

そんな訝しむ父に対して、ミロアは自分の考えた作戦を改めて説明するのであった。



「私はガンマ殿下をはじめとする学園で私につきまとうであろう男たちを上手く遠ざけるために婚約者を持つと考えました。つまり、そのためだけの婚約者が必要でしかないということです。流石に将来を共にしていく伴侶と考える存在でなくてもいい。ガンマ殿下達を避けるための都合のいい存在ならばいいのですよ」


「……そ、そうなのか?」


「はい。ですが適当な男であれば誰でもいいというわけにもいきません。少なくともガンマ殿下達も私の婚約者として納得せざるを得ない相手でなくてはいけない。例えば、私とは旧知の仲でそれでいて上級貴族の男性……今のところ、オルフェしかいませんわよね?」


「そうだな……」


「オルフェが私と婚約したと聞けば諦めるか反対したり婚約破棄を迫ったりと行動することでしょう。少しでも過激なことをすれば、それを大げさに責めて舞台から引きずり下ろす……私はそんなふうに考えているのですよ」


「…………」



バーグの顔が引きつった。オルフェがミロアの婚約者になるということは間違ったことではないし許容できると本心では思っていただけに、ミロアにとっては本当に男避け目的だけだったかのような発言に動揺したのだ。



(……ミロアにこんなシビアというかドライな一面が……いや、それも仕方がないのか? あんなに想いを寄せていたガンマ殿下があれでは男性不信も……それは関係ないか? いくらなんでも幼馴染を男避け目的だけに……いや、まて、本当にそれだけなのか?)


「し、しかし……オルフェの気持ちはどうなるんだ? 流石に男避け目的だけで婚約者になってくれというのはあまりにも彼の気持ちを軽んじているのでは……」


「お父様、私は別に男避け目的だけではありませんよ? これを機に私に新たな婚約者がいてもいいと思っているのですが?」


「え? あ、ああ、そうか……」


「お父様は意地になって婚約は早すぎるみたいに言っていましたが、公爵令嬢として早期に婚約が決まってもおかしくはないでしょう。この国の現状を考えればむしろ得策なのでは?」


「むう……」



ミロアの言っていることは一理ある。嘗てのドープアント王国は敗戦した事もあって他国に比べて貴族の家の数が少ない。そういう事情もあって、貴族の縁繋ぎは非情に重視されているのだ。特に伯爵から侯爵までの上級貴族は婚約に躍起になる者が多い。中には、大きな野心を持っている者もいる。学園でミロアを待ち構えている男達のように。



「お父様はオルフェのイーノック家を『名ばかりの侯爵』の一つだと言いますが、それでも侯爵という立場は大きいはずです。そもそも私達は公爵家であり、上級貴族との婚約が望ましいのも事実。陰口を言われようとも上級貴族同士の婚約であるのですから何もおかしいことではないでしょう」


「た、確かにな……」



ミロアの話を聞いていると、段々とバーグは渋い顔が緩くなってきた。

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