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第87話 だからこそ悩ましい(2)

しかし、ガンマへの思いを捨てて大きく変わったミロアのことも見てきたのも事実だ。だからこそ悩ましい。



(確かに昔のお嬢様はガンマ殿下への恋慕が行き過ぎて周りに我儘で傲慢だったが、今は違う。盲目的な恋愛から冷めて冷静に周囲や物事を見聞きして正確に判断できるようになったお嬢様は、レトスノム家をいい方向に変えてくださった。そんな今のお嬢様なら退学くらい……いや、まだ口に出すまい)



ガンマとマーク・アモウのことは説明したが、まだ面倒な存在は二人ほどいるのだ。それらの人物達のことを話した後のほうがいいとエイルは判断した。



退学くらい許される、と忠言することを。



(学園は思っていたよりも面倒な状況になっているし、できることなら全てを知った上でお嬢様に判断してもらいたい。もっとも、旦那様もお嬢様を学園から開放したほうがいいとか面倒な連中を退学させたほうがいいか悩んでいるくらいだし……)



前日に、無理をしてでも屋敷に戻ってきたゴウルの持ち帰った情報を共有したエイル達家臣と主であるバーグは、学園で注目されている主要人物達の状況を知って皆頭を悩ませたのだ。ミロアも当然頭を悩ますと思うが、エイルはミロアのためにも彼女自身で決めたほしいと思っている。



「お嬢様……マーク・アモウのことはもう説明は済んだので、他の二人のほうに話を移しましょう。お嬢様のこれからはその後でも」


「……そうね、後はローイ・ミュドとミーヤ・ウォームよね? 元側近と婚約破棄のきっかけとなった令嬢……」


「はい。まず、ローイ・ミュドなのですが……」



ここでエイルは間をおいて少し顔をしかめた。それだけで、ミロアは嫌な予感がする。というか確信する。



(あれ? 今度は何?)


「ローイ・ミュドはお嬢様も存じているように、どうやらお嬢様に好意を持っていると思われます。あのような内容の手紙を初めに送ってくるのですから……」


「その後もほぼ毎日手紙が来るものだから仕方がないわよね……」



ローイ・ミュドはあれから毎日手紙を出している。もっとも、その全てが似たような内容だった。ミロアの味方であり、他は気にする必要はない、という内容を飽きもせず毎日。



「あの手紙の通りお嬢様の味方というのが本当ならいいのですが……」


「実は違うということ?」


「……学園で遠回しにお嬢様に好意を抱いているような発言をしていて、ガンマ殿下一派やオルフェ様のことを非常に悪く言っているようです」


「……は? 学園でそんなことを……っていうか、オルフェのことまで!?」



流石にそんなことは初耳だった。オルフェからの手紙にもそのような情報はなかったのだ。

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