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第81話 国家機密並 

あまりにも動じないで続きを促すミロアに、エイルは不安になった。



(お嬢様は分かっていないのか? 王家の闇とは…国の恥ずべき真実のようなもの。それを知るということは、それだけで大きな意味を持つというのに……)


「エイル、ちゃんと理解しているわ。ここからは王家の国家機密に近い話なんでしょ?」


「! お嬢様は分かっているのですか!?」


「王家の闇とか聞かされる日が来ることくらい覚悟していたわ。仮にも王子の婚約者だったんですもの。ありえないことではないはずよ」


「お嬢様……」



ミロアの言葉は半分事実で半分嘘だ。確かに王家の闇等に関わるんじゃないかと思っていたが、婚約者だった頃に覚悟していたわけではないのだ。婚約者だった頃のミロアは、ガンマのことしか考えていなかった。周囲からも、王家側からもそんなふうに思われていたため、国家機密並の情報を耳に入れられることはなかったのだ。



(……思い出したくもないけど、本当にあの頃の私は頭お花畑だった。所謂ヤンデレストーカー。でも今は前世の記憶があって恋愛絡みから離れている。だからこそ、いつかは王家関連でヤバい話を聞かされる時が来るかもとは思ってたのよ。公爵令嬢だからね。前世の恋愛小説にもそういう話があったし……)


「……そうですね。申し訳ありませんお嬢様。要らぬ心配をしてしまいました」


「エイルのそういうところは長所よ。気にしないで」


「それでは、マーク・アモウ……アモウ家と王家の関係について話します。アモウ家は王家の遠縁です」


「! ……そうきたか」



ミロアは顔をしかめる。アモウ家が王家の遠縁などという話など聞いたことがなかったからだ。そもそも、それが本当であれば爵位は伯爵どころか侯爵、あるいは公爵の立場にあってもおかしくない。血縁のことが公になっていないということは、そうなっては困る事情があることを意味する。



(アモウ家の当主が宰相になれている時点で血筋にも影響があるかもとは思ってたりしてたけど……王家の親戚だったのね)


「アモウ家は嘗ての戦争を起こす直前に戦争反対を訴えた王族、当時の王弟だったお方の家なのです」


「戦争を反対した王族ね。戦争自体は我が国の王家が引き起こしたと聞くけど、その王家の中にも戦争は駄目だと言ってた人がいた……当時にまともな王族がいたわけね」



ミロア達が生まれる以前に起こっていた戦争は、当時のドープアント王家が引き起こして敗けたと教科書に載っている。わざわざ王家に責任があるように載せられているのは、同じ過ちを二度と起こさないという王家の戒めだと聞かされていた。

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