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第79話 国庫の金を

ベッドの中に悶こんでしまったミロアを見かねたエイルは、ミロアの気持ちを察して話の続きを聞かせることにした。ミロアが落ち着ける内容の話を。



「お嬢様落ち着いてください! ガンマ殿下の行動が見苦しいということで国王陛下が厳しく咎めたそうなのです。だから、お嬢様の心配されるようなことは流石にないかもしれないのです!」


「……え?」


「ガンマ殿下が派手というか、お嬢様の真似をなさる際に相当な資金を使ったために国王陛下にお叱りを受けたそうです。何でも、金が足りなくなったとかで国庫の金にまで手を付けようとしたところを見つかったそうで……」


「ええ!? 国庫の金に手を!?」



ミロアは驚いてベッドから起き上がった。国庫とは国の金庫そのものだ。そんな大切な金を許可なく、しかも私的な目的で使うなど許されるはずがない。前世の知識というか貴族令嬢としての知識からミロアはそれをよく知っている。それだけにガンマのしでかしたことの大きさに戦慄した。



(何考えているのあの王子は……国庫の金を勝手に使う王子って……典型的な『ざまぁされる王子』そのものじゃない。っていうか、何故そんな金に……自分の立場が更に悪くなるだけだって分からないの?)


「ど、どうして、国庫のお金にまで? 王子という身分だから手元に資金がないわけじゃないはずなのに……」


「……その手元の資金がすでに尽きていたそうです。例の男爵令嬢へのプレゼントにつぎ込んでいたからだそうで」


(そうか、すでにミーヤのためにお金を使ったから手元にお金がなくて仕方なく国庫の金を……やっぱりヤバい王子だわ。すでにまともな思考もできていないんじゃ……)



ヒロインのために金をつぎ込む攻略対象は定番だ。しかし、それが現実になると必ずしもよく見られるとは限らない。金銭が絡むとなれば、大きな問題に発展する可能性のほうが高いものだ。それもミロアの前世の知識に数多く存在している。



「ただ、国庫の金のことは未遂に終わっているので公にはされていないようです。それでも、国王陛下のガンマ殿下に対する怒りは激しかったそうです。ガンマ殿下は流石に意気消沈されて、ミロア様のことを諦めたわけではないようですが、先程申し上げたような派手な服装や装飾品などは止めたようです」


「そ、そうなのね」


(良かった〜……私のブラックな過去を彷彿させる姿は見なくて済むのね。これはもう学園に通うのはやめようかと思いかけちゃったわ……ヒヤヒヤさせてくれるわね)



ミロアは心から安堵したが、すぐに気を引き締める。聞かされたのはまだガンマのことだけであり、問題となる人物は他にもいるのだから当然だ。

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