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第10話 イメージチェンジ

ミロアが目覚めてから五日目、ミロアは体の痛みがだいぶ引いたのをいいことに、イメージチェンジに挑戦することにした。まずは、侍女に頼んで髪の長さを肩口あたりに揃えるように注文する。



「ええ!? お嬢様のお髪を肩口まで!? 腰まで長い綺麗な髪をそこまで短くするのですか!?」


「お願い。ガンマ殿下と決別すると決めたから髪を長く伸ばす必要もなくなったの(手入れが面倒だろうし)」


「お嬢様……」



ミロアとしては、ガンマが長い髪の女性が好みだと言っていた記憶があったため、今はガンマの好みから外れたいと思って髪を切るつもりだった。ただ、侍女の方はある意味違う意味で受け取ったようだ。



「分かりました! お嬢様の覚悟を受け取りました! それではせめて、お嬢様に似合う髪型にさせていただきます!」


(失恋した女は髪を切る……こっちの世界でもそれは女の覚悟のように聞こえるのね)



妙に張り切りだした侍女に感心するミロアは化粧の方も注文する。



「化粧も本当に私に似合うようにお願いね。できれば派手じゃない方で」


「はい!」



嘗てのミロアはガンマの気を引きたくて髪を腰まで伸ばし、化粧も派手に目立つ仕様にしていた。これからは全く逆にするというわけだ。



「お嬢様、こんな感じでいかかでしょうか?」


「まあ……!」



鏡に『今の』ミロアの姿が映る。そこには血のように赤い長い髪を腰まで伸ばし派手な化粧をしていた姿はない。代わりに映っていたのは、艷やかな赤い髪を肩口に揃え化粧を慎ましい感じに抑えた美少女の姿だった。



「いいねいいね! 完璧じゃん! 最高の出来栄えよ!」


「お、お嬢様……!?」



ミロアは新しい自分の姿に興奮してつい貴族らしからぬ口調が漏れてしまう。前世の口調が出たのだ。



「(しまった!)あ、えと、ごめんなさい。つい興奮しすぎたわ。貴女のおかげで私の思い描く最高の姿になれたから嬉しかったの。本当にありがとう!」


「そ、そんな……光栄です!」



ミロアは髪を切ってくれた侍女に頭まで下げてお礼を言った。侍女の方はそんなミロアに動揺してオロオロしてしまったが、感謝されて嬉しかった。



(まさか前世の髪型になるなんて思わなかったわ! 本当に偶然なんだろうけどね!)



前世では髪を肩のあたりに伸ばし化粧も控えめだったので、今のミロアにとって違うのは髪の色と美形の顔になったことだけになったのだ。感激せずにはいられなかった。



「ふふふ、これから変わっていく第一歩っていうところかしらね」



鏡を眺めながらミロアは、満足気に呟いた。

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