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第66話 宴のような茶会

レトスノム公爵家の屋敷で宴のような茶会が行われた。レトスノム家の家族の茶会は、知らぬ者からすれば大きな意味があるとは思わぬことだろう。家臣たちのように、この日のために密かに準備しているほど重要なことだということを。



「……いつの間に、こんな……!」



ミロアが屋敷の外に出てバーグを出迎えている間に、屋敷ではすっかり宴……大掛かりなお茶会の準備が完了していた。多くの花の飾り付けに、新品のテーブルクロス。お菓子と紅茶、新品の食器類まで茶会の準備は万全の状態だったのだ。ミロアが思わず口に出して驚くのも無理はなかった。



「私、ずっと屋敷にいたのに……」


「まあ、このくらいのことならば私どもなら朝飯前ですよ」


「エイル?」



いつの間にかミロアの横に現れたエイルが誇らしげに語りだす。



「私達はだてに公爵家の使用人ではないのです。たまに、旦那様が空気の読めないような配慮のないようなことをなさる時があるので、そんな時に私達がフォローなり引き付け役なりを担うことになるのです。まあ、いつもなんだかんだ言ってなんとかなるので当日に聞かされたサプライズの準備くらいならわけないのですよ」


「ええっ!? お父様ってそんな無茶をさせてきたの!? 配慮のないのってそんな頻繁に!?」


「頻繁……ではないですよ。まあ、今回はお嬢様のほうが上手くまとめてくださったようですが……」


(頻繁でないけど、そこそこの頻度ということね。エイルたちはどこかお父様に振り回されたわけか)



エイルは笑顔だが、どこか遠い目をしているような気がした。ミロアは気が付かなかったが、彼女たちを眺めるダスターとスタードもうんうんと頷いている。バーグは家臣たちからは尊敬はされているようだが、振り回してもいるようだとミロアは思った。



(思えば、あの時もそうだったわね。お父様が義母様と再婚した時も、私にそれを伝えたときには突然で、義妹スマーシュの存在もその時に明かしたのよね。一度に多くの出来事があって混乱させられたし、お父様を奪われるとかお母様を否定されるような気持ちで義母様とスマーシュを……そのことについても二人に謝らないと)



父親の配慮がないことで一番印象深い思い出を思い出した時に、ミロア自身の嫌な思い出も思い出してしまった。だからこそ、わだかまりを解消していくために気を引き締めた。



(最初はあれだけど、きちんと謝らないとね。そうしないと私達は家族として前へ進めない。自分でわだかまりに決着をつけないと!)



ミロアは茶会の席へと向かう。ミロアのことをどこか期待した目で見守る家族の元へ歩み寄るために。

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