天の園
道中。
「花田さん……。あ、正志さん。夫は本当に里美ちゃんを蘇えらそうとしているのですか?」
智子は何度目かの疑問を口にしていた。納得が出来ないのか。この天の園へと来てから同じことを繰り返して花田に聞いていた。智子は最初はこの世界を否定していたので、里見に対しての愛情も些か漠然としていたが、今となっては胸がはち切れそうなくらいの。早く会いたいという焦燥感が芽生えそうであった。
「ですから……私たちは、玉江 隆さんの命の安全のためにやってきたので……その里美ちゃんのことは……白状すると、助けられるのかどうか……解らないのですよ」
花田は苦しまぎれに言い繕う。それは、現実にこの世界に来てから、当初の目的が優先されたところである。つまりは、隆のサポートだけである。何せ恐ろしいのだ。この世界が。現実にこんな世界があり、それを実感すると、自分たちに出来ることは最小限である。
智子は何度目かの葛藤をする。
「ねえ、正志さん。この世界からその里美さんを蘇えらすのには、一体どうやったらいいんですか?」
瑠璃が運転席にいる正志に言った。
「それは、多分。この世界から里美ちゃんをそのまま元の世界に連れて行って、俺の知り合いの竹原が里美ちゃんの死体を安置しているから……。その死体の中に入ってもらう……?と……それで、蘇るんじゃないかな?」
花田の何とも言えない言葉を聞いていると、智子は頭を抱えて唸りたくなる。智子も里美が生き返るのはとても嬉しい。出来れば、この世界で隆と同じ行動をしたいと思っていた。けれど、智子は現実的に……どうしても考えてしまう人だった。