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黛剣志と三世界の姫君  作者: たか
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神魔大戦 魔界編①

神界から戻った翌日の夕方、俺はゲートの近くにいた。神王様からは来るなと言われたが、どうしても神界やそこに住む神族の人々のことが気になった。この好奇心を抑えようと頑張ったが、一日授業に集中できないほどだったので、諦めた。そして俺は今また、ゲートの目の前にいる。もしかしたら、昨日の件で神王様が封印を掛けなおしたかもしれないが、俺は昨日と同じ要領で扉に手を当てた。すると中に引きずり込まれた。


今度は二度目ということもあって、気を失うことはなかったが、目を開けてみると、昨日とはまるっきり違う場所にいた。辺りは薄暗く、なんだか不気味な感じがする。このままこの場所に留まるのは、危険な感じがしたので、俺は散策することにした。


しばらく歩いていると、遠くの方から悲鳴のような声が聞こえた。俺は急いで声の聞こえた方に向かうと、女の子が倒れていた。すぐに駆け寄り声を掛ける。

「大丈夫ですか?どうしたんですか!?」

「あ…あなたは?」

女の子は意識はあったが、すごく疲れている様子だった。

「俺は…」

そう言いかけた時、小さな光の玉が俺たちめがけて飛んできたので、俺は、女の子を抱えて避けた。

俺たちがいた場所は、光の玉が当たりドーンと爆発した。もし一瞬でも避けるのが遅れていたら、大変なことになっていた。


光の玉が飛んできた方から三人の賊がやってきた。

俺は女の子を庇うように前に出た。

「なんだお前は?どうしてそいつを庇う?」

「お前たちこそ、どうしてこの子を狙う?」

「お前何を言っている?何も知らないのか」

その時、賊の一人が何かに気づいた。

「お前人族か?」

「だったらなんだ」

俺は強めな口調で答えた。

「そうか。何も知らずに迷い込んでしまったんだな。まぁそれなら仕方ない。巻き込まれて死んでも運が悪かっただけだ」

そう言って、賊は俺たちに攻撃をしてきた。

事情はわからないが、直観的に俺は女の子を守ることにした。女の子を抱えて走りながら、飛んでくる光の玉を避ける。しかし、このままでは防戦一方になってしまう。

「ちょっとここで待ってて」

「え!あの…」

「大丈夫!ちょっとあいつら倒してくるね」

俺は女の子を岩陰に隠して、賊の方へ向かった。


敵は三人。全員が光の玉で攻撃してくる。この光の玉に触れるといけない。爆弾みたいなものだ。

深呼吸をして集中力を研ぎ澄ませる。すると右後方から光の玉が飛んでくる。俺はそれを避けて、飛んできた方向へ全速力で向かう。賊は何発も光の玉を撃ってくるが、直線的なため避けやすい。賊に重い一撃を与え一人撃破。今度は左から攻撃が飛んで来たので、同じ要領で二人目も撃破。そして、最後の賊にも玉を避けながら近づいていたが、そのうちの一発をくらってしまった。

「どういうことだ。確かに避けたはず…」

俺は少し困惑した。幸い威力が弱く、右腕を少し負傷したくらいで済んだ。

「フン。調子に乗るなよ。小僧」

そう言って、賊は続けて攻撃してきた。

俺は、先ほどより慎重になり、相手の分析を始めた。すると、光の玉が途中で曲がっているのが見えた。

「そういうことか」

俺は理解した。

「気づいたか。そうだ、俺は神力をコントロールできる!わかったところで、貴様に為すすべはないぞ」

俺は避け続けていたが、気づいたら周りを光の玉で囲まれていた。

「これで終わりだ」

賊がニヤリとした表情で言った。

俺は咄嗟に地面に踵落としをして、粉塵を巻き上げた。そして爆発の中、一瞬で賊に近づき重い一撃で倒した。しかし、完全に無事ではなく右腕を負傷してしまった。



「あなた、お強いのですね」

振り返るとさっきの女の子がいた。

「え、うん。まぁこれくらいならなんとか。くっ」

右腕に少し痛みがはしった。

「あっ!その右腕!!ケガが」

「あぁ、大丈夫、大丈夫、これくらい。大した事ないよ」

「ちょっと待っててください。すぐに治します」

そう言って女の子は、俺の右腕に手をかざすと、緑色の光が腕を包み、徐々に痛みが減っていくのがわかった。一分ほどで俺の右腕は完全に治った。

「ありがとう。もう全然痛くないよ」

「そうですか。良かったです。それにお礼を言うのは私の方です。助けて頂きありがとうございました」

女の子は頭を深々と下げて言ってくれた。なんかとても礼儀正しい子だなと思った。


「君ってもしかして魔族?」

俺は聞いた。

「はい。あなたは……人族ですか?」

「うん。俺は黛剣志!よろしく」

「はい。私はリリスです。よろしくお願いします。ところで、剣志様はどうして魔界にいらっしゃるのですか?」

「え!そうだなぁ」

自分から来たんですというと、怒られるかもしれないと思った俺は、昨日と同じ内容をリリスに話した。

「そうだったのですね。もしかしたらゲートの封印が弱まっているのかもしれませんね」

何かデジャブな感じがするがここはスルーしよう。

「では、帰り方がわからなくて困ってらっしゃるんですね」

「うん。まぁそんな感じ」

とても素直なリリスに、俺は少し後ろめたさを感じてしまった。

「では、私にお任せください」

「え!」

「私の父は魔王をやっているので、きっと戻る方法を知っていると思います」

その言葉を聞いて、数秒思考が停止した。我に返った俺はもう一度リリスに聞いた。

「あのー、リリスさん。今なんと言いました?」

「え!私の父は魔王をやっているので、きっと戻る方法を知っていると…」

「えーーーーーー!!!てことは、リリスさん、いやリリス様は……魔王様の…」

「はい。魔王の娘です」

昨日は神王の娘と出会い驚いたが、今日は魔王の娘に出会ってしまった。

「では、行きましょうか。剣志様」

「はい」

読んでいただき、ありがとうございます。

次回もお楽しみに。

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