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黛剣志と三世界の姫君  作者: たか
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プロローグ

 朝6時、目覚ましの時計の音がうるさいので俺は少し強めに叩いた。布団から起き上がり、部屋を出て洗面所で顔を洗い、歯を磨く。トイレに行ってから部屋に戻り、制服に着替える。着替えを終えて台所に行くと、じいちゃんが朝ごはんの準備をしていた。

「おはよう、じいちゃん朝早いね」

「おう、起きたか、剣志。もうすぐ味噌汁ができるから、座って待ってなさい」

「うん」

修行の時はいつも厳しいけど、それ以外の時は優しいじいちゃん。武術に長けていて、門下生を教える側、家の家事全般もこなしている。

「ほーれ、できたぞ。」

じいちゃんが、ご飯と味噌汁と目玉焼きを机に並べてくれた。

「ありがとう、いただきます」


朝食を食べ終わり、食器を片付けてから、部屋にカバンを取りに行った。

「制服よし!カバンよし!オッケー」

姿見で確認した。

玄関に行き、靴を履いて、気持ちを引き締める。

「じゃあ、行ってきまーす」

今日は快晴。太陽のまぶしい光が目に焼き付く。空気も澄んでいて美味しい。


 俺の名前は、黛剣志まゆずみけんし。人間界の高校に通っている1年生。得意科目は体育。苦手科目は体育以外。家族構成は、俺、じいちゃん、父さんの3人で暮らしている。じいちゃんは武術の先生をしていて、俺も教えてもらっている。父さんも武術を嗜んでおり、昔は一緒に鍛錬していたけど、今は病気で休んでいる。母さんは、10年前に事故で亡くなっている。小さい頃に一緒に遊んだ記憶がうっすら残っているくらいだ。まあ、でも毎日楽しく過ごしている。


「おはよう、剣くん!」

後ろから声が聞こえたので振り返ると、神崎みこ(かんざきみこ)がいた。

「おはよう、みこ」

みこは、俺の家の近くにある神社の神主の娘で巫女もしている。さらに人間界では珍しい特殊な能力を使える。みこはそれを「霊力」と呼んでいて、空を飛んだり、光の玉を出したり、身体能力を格段に高めたりすることもできる。そのため、いつもみこに修行を手伝ってもらっているが、一度も勝てたことがない。悔しい。いつか絶対一本取ってやる。


「ねぇ、今日歴史の小テストがあるんだよ。ちゃんと復習した?」

「え!まじか!やっべ、忘れてた!」

「赤点取ったら居残り補修だよー」

焦っている俺を見て、なぜか微笑むみこ。こいつは何だ。サディストなのか。

そんな他愛もない話をしながら歩いていると、2つの大きな扉がある広場が見えた。2つの扉は大きな鎖で塞がれてこちらからは開けることができないようになっている。


「じゃあ、テスト配るぞ」

先生がテスト用紙を配る直前まで、俺は教科書とにらめっこをしていた。

「よし、大丈夫だ。しっかり覚えた」

教科書を机の横に掛けてあるカバンに入れ、準備万端と意気込んでいたのも束の間、配られたテストを眺めてみると覚えた範囲と全然違う問題ばかりが並んでいた。「あぁ、やってしまった」と心で呟きながら魂が抜ける感じがした。でも、まだ諦めるには早い。何事もやってみなければわからないからだ。

第1問、「人間界、神界、魔界、この3つの世界を作ったといわれる初代の”王”の名前をそれぞれ答えよ」

「………」全然わからん。


俺が住んでいるこの世界には、3つの世界がある。人間が暮らしている人間界。神族が暮らしている神界。魔族が暮らしている魔界。この3つの世界は、はるか昔に3人の”王”が作ったとされている。人間界の王”人王”。神界の王”神王”。魔界の王”魔王”。

神族は、みんな”神力”といって特別な力を持っている。炎を出したり、雷を出したりできる。背中には白い羽があり、頭の上には黄色い輪っかみたいなのが浮いている。見た目は人間と似ているが、耳が少しだけ長いのが特徴だ。

魔族は、みんな”魔力”といって特別な力を持っている。神族と同じで、いろいろな魔法を発動できる。背中には黒い羽があり、頭には角が生えている。見た目は人間と似ているが、耳が神族よりもさらに長いのが特徴だ。

人間は、一部を除いて特殊能力もなければ、特に変わった特徴もない。唯一誇れることは他と比べて頭が良かったため、科学技術が発展したことだ。昔はこの科学技術を使って2つの世界とも渡り合っていたらしい。ほんとかどうか怪しいが…。

この3つの世界は、過去幾度も争いを起こしていたが、約70年前、和平交渉が成立し、平和な日々が続いていた。

しかし、10年前ある事件をきっかけに神族と魔族が再び、戦争を始めた。その事件がどういったものかは、俺たち人間は知らない。そして、神族、魔族とも人間には迷惑を掛けないという形で、それぞれの世界に繋がる扉を封印した。


歴史の補修を終えての帰り道、ふと封印された扉が目に入り、何か感じたので近づいてみた。近くにいくと改めて扉の大きさに少し驚いた。興味本位で少し扉に触れたその時、急に中に引きずり込まれてしまった。

読んでいただき、ありがとうございます。

次回もお楽しみに。

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