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王宮の舞踊会

ルティーナは14歳になった。

社交デビューも終えて、社交会にでれるようになった。今日はアルターナの建国際で式典は終えて夜の舞踏会の準備の為にルティーナは自室にいた。


鏡の前にはローザとルティーナだけが写っていた。

他のメイド達は着替えたドレスの片付けなどで部屋にはいない。ローザはルティーナなの舞踏会への準備の最後の仕上げのメイクをしていた。


「ルティーナ様、ご存知かと思いますが今日の国賓の方々は外国からも来ております」


「ローザの言わんとする事は分かっているわ」


「この機会を有効に使ってください」


「やっと、社交会の舞台に上がれる。クラウドお兄様が出来ない事、私が必ず勤めるわ」


ルティーナは今日の国賓、貴族の名前は頭に入れてある。


「それと……普段の仮面をかぶる事、お忘れなきよう」


ルティーナは表向きには国王を始めアッシュレに対しても従順な王女を装っている。


「心配はないわ。あの二人を欺いていると思うだけでも楽しいですもの」


「ルティーナ様、あまり調子にのってはいけません」


ローザは厳しい顔をしてルティーナを見つめる。

ドレスと言う武装を完全に仕上げ準備も整い、宰相の子息、公子のエスコートにて会場に向かう。

この公子も隙あらば、ルティーナを下嫁にと思って仕組まれているのだろう。国王はルティーナを他国との政略結婚の道具としか考えていない。無駄な策だとルティーナ密かに公子を哀れむ。


始めの曲はアルターナの王太子と婚約者とのダンスから始まる。ルティーナはアッシュレの婚約者を今夜始めてみる事となる。ルティーナも国王とアッシュレからは関心を持たれていなかった為、公の場以外では無視された存在だった。わざわざ、アッシュレも自分の婚約と挨拶させる気もなかったのであろう。

ルティーナは勝手にアッシュレの婚約事はアッシュレと同じ部類の人柄の人間だと決め付けていた。

容姿に自信があり、自分以外には興味のない何がだと思っていた。そして今も、婚約者の座を射止めた事を誇らしげに登場するのかと思うとうんざりしていた。


アッシュレ達のダンスが始まるとその光景にルティーナは目を疑った。


その婚約者である女性は可憐で儚さを持つ美しい人であった。銀髪も引き立つ深い青い瞳が印象的であった。


(彼女は宰相補佐の長女のアルテシア令嬢…まさかあんな儚げな方がアッシュレの婚約者とは…)


今まで、アッシュレの婚約者に全く関心がなかったがルティーナはアルテシアに興味を持った。

ルティーナは二人のダンスから目を離さなかった。アルテシアは僅かに微笑みはしていたが何処か諦めた悲しい表情にルティーナは見えた。

それとは反対にアッシュレはアルテシアを熱烈な視線で見つめている事をとても滑稽みえた。


(アッシュレお兄様らしいわ。手に入らない物が欲しいのね。本当に悪趣だわ)


二人のダンスが終わるとルティーナも公子と一曲、踊りアルテシアを探した。


アルテシアは以外にも壁際にいた。アルテシアの両脇には近衛騎士が立っており他の貴族らが近づく事が出来ない状態であった。

ルティーナはアルテシアの元に行き騎士を下がらせた。


「先程は素敵なダンスでしたね」


ルティーナからアルテシアに声をかけた。

アルテシアは慌ててカーテシーで挨拶をする。


「ルティーナ王女殿下、ご機嫌麗しく。私、ロレーヌ侯爵家の娘、アルテシア・ロレーヌでございます」


「堅苦しい挨拶は結構です。アルテシア令嬢とは家族となるんですから」


返事の変わりにアルテシアは硬い表情で微笑む。ルティーナは思った通り、アルテシアにはとってアッシュレの婚約は嬉しい事ではないようだ。


「ルティーナ殿下のようなお優しい方と家族に慣れる事は嬉しいです」


と、何処か悲しい表情で微笑む。もう少し話そうと声をかけようとすると騎士が話に割って入ってきた。


「ルティーナ殿下、申し訳ございませんがアルテシア様は体調が優れないようで、王太子殿下の命でお部屋に下がらせて頂きます。ご無礼をお許しください」


ルティーナは驚いた。後ろから視線を感じ視線の方向を見るとアッシュレが睨んでいた。アルテシアはアッシュレに囚われている事をルティーナは悟った。

ルティーナは去ろうとするアルテシアに問いかけた。


「アルテシア令嬢、貴方はそれでいいんですか?」


それは、アッシュレに囚われて一生、生きていく事でいいのかと言う意味で聞いた。アルテシアもその問いに理解したらしくルティーナに答えた。


「私は貴族の娘として覚悟は決めております。」


それが、アルテシアの答えであった。アルテシアは騎士と一緒に去っていった。


ルティーナがアルテシアの後ろ姿を見送っていると背後から男性のこえがした。


「まるで、アルターナの生贄ですね」


驚いて振り向くとそこにはルティーナと年が変わらない少年が立っていた。


「貴方は……バガラル国王陛下…」


「バガラル国王、ダニエル・パレデスです。ルティーナ王女殿」


ルティーナはバガラルの国王は10歳で反乱を起こし実の父や兄を殺したとは思えなかった。


「私はアルターナ第一王女のルティーナ・ルービンスタインでございます」


「今日はアルターナの第二王子殿にお会い出来ればと思いましたがやはりいらっしゃらないようだ」


「第一王子でなく?」


ダニエルは不適に笑うが返事はしない。


「まあ、ルティーナ王女に会えたのでアルターナに来たかいはありました」


「先程、陛下は生贄と言いましたが……どう言う意味でしょうか?」


ダニエルは何故、そんな事を聞くのかと不思議そうな顔した。


「そのままの、意味ですよ」


「あまり、アルターナの事よく思ってないように聞こえますが?」

「はっきり言いますね。もっと大人しい方だと思っていましたが。貴方もそう思っているのでは?」


ダニエルはルティーナを探るように見る。


「私は、アルターナの民の事は何よりも大事だと思っています」


「では私と同じだ。私もバガラルの民は大事だと思っています。バガラルにとってのアルターナとの友好関係は必要かどうか見極めに来ましたが…第二王子に会って…と、思いましたが血の繋がりの濃いルティーナ様には興味を持ちました」


「陛下と同じ…」



「あまり深く考えないでください。では、また会いましょう」


ルティーナはダニエルの後ろ姿を見送った。




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