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序順

8歳のルティーナは社交会に出れないので人脈を作るのは先ず無理であった。国王を始めとする周りの者からはなるべく、世間知らずの王女を装っていた。天真爛漫にする事でクラウドに会いに行きやすくする為だった。

既に王宮にある本は読み尽くしているが所詮は過去の出来事、ルティーナは今のアルターナの現状を知りたかった。アルターナの貴族名鑑も読み尽くした。

所詮は本の事、派閥など全く分からない。

王宮から出る事を許されないルティーナは国民の暮らしすら見た事がない。


ルティーナは気分転換にクラウドのところへ行こうとしたが思い留めた。今日はクラウドのところへ()()()()()()()()()()()()()


物心つく頃から、付いていた侍女のローザが外へ出る事を促す。


「今日はクラウド殿下のところへお出かけにならないんですか?」


「今日は()()()()()()()()()()()


「しかし、せっかくの天気ですので外の空気を吸いませんか」


「そうね」


()()()()()()()()()は、一日中落ち着かなかった。クラウドどアッシュレに酷い目に遭っていると思うといたたまれなかった。しかし、クラウドの元に行っても自分のせいでより酷い事をされるかもしれないと思うと近づく事も出来なかった。


ローザに連れら散歩に出かけるが兄のいる塔が気になる。ローザが、ルティーナに驚く提案をして来た。


「ルティーナ様、クラウド殿下の様子見にいかれますか?」


「えっ、ダメよ。今日は…」


「ご心配なのでしょう?」


ローザは塔の近くの物陰なる小屋まで連れて行ってくれた。


かなり離れているので声も顔の表情も分からないが以前、クラウドが騎士達に寄ってたかっていたぶられていた光景だった。ルティーナ様は目を背けた。


「ルティーナ様、目を背けてはいけません」


「でも、お兄様が…見てられないわ」


「クラウド様は、騎士達に勝てるお力を充分お持ちです。クラウド様は今、耐えているのです。いつか、この国の民を守る時が来るまで。あのお姿のはアルターナの民の苦しみです」


「ローザ、あなた……」


ローザは片膝を付き胸を手に当てルティーナに深々と頭を下げる。


「第一王女殿下、私、第二神殿騎士のウィナード・ローザとお申します。アストラ教皇の命でルティーナ様とクラウド様を見守っていました」


「アストラ教皇?何故?」


「訳は話せません。私の主はアストラ教皇でありますから、アストラ教皇の許可得なければ話せません」


「ならば聞きません。名を明かしたと言う事は他に何かあるのでしょう?」


「ルティーナ様、貴方がこの国を良き国とする事を願うならば私は貴方の手となり足となりましょう。しかし、ただクラウド様の事を思うだけならば私は直ぐに貴方の目の前から消えましょう」


ローザはルティーナがクラウドを次期国王にと考えている事を知っているようだ。


「何故、私の思いを、知っているの?」


「幼い頃から、見ていましたから」


ルティーナはアッシュレとクラウドの方に目を向ける。


「ローザはあのお兄様の姿は民の姿と言ったわね」


「そうです。この国は、民の苦しみがあっての平和があるのです」


「私はアルターナの国民の事は何も知らないわ。でも、もし、アッシュレ兄様がクラウド兄様のように王族が国民を苦しめているなら許せない事」


「国の為に立ち上がってくださるのですね。私が出来る事を全てさせて頂きましょう」


その日から、ルティーナはローザから城の外の事教えて貰った。アルターナは貴族階級はしっかりと固められているが、庶民の扱いは酷い者だった。庶民から裕福なろうとしても高額な税金が課せられる。まともな給料が貰えるのは魔道士や医者と貴族に雇われる職業の者ばかりである。

基本的、庶民は学校に行けない。高額な学費がかかるからだ。貴族でなければ入れない学校が多いので庶民の職業も限られている。

いくら国民が不満を持っても王族の魔力を恐れている為立てつく事も出来ない。


「私は、何も知らずにのうのうと生きていた事になるわね」


「孤児院も国から補助が出ているとはいえ微々たるもの体裁だけは保っています」


「クラウド兄様はアルターナの現状は知っているのかしら」


「クラウド様にも私と同じ出のものがついていますので」


「クラウド兄様にはローザの事を内緒にしていた方が良さそうね」


「何故、そう思うのでしょうか?」


「きっと、私が国王陛下やアッシュレ兄様に対して不敬罪や反逆罪に問われるのが心配で思いとどまるよう説得されてしまうわ」 


ローザはその様子を思い浮かべようで笑いながら言った。


「クラウド様はルティーナ様の事、大事に思ってますからね。賢明なご判断だと思います」


こうしてルティーナは14歳まで国王や王太子の気を引く事はなく過ごした。









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