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プロローグ

ここはアルターナ大国の宮殿の離れに一人の王女の宮殿がある。

ルティーナ・ルービンスタイン第一王女である。歳はまだ、14歳で社交デビューもすましたばかりであった。

母譲りの艶やかな黒髪に金の瞳と神秘的な容姿である。彼女の母、エレンによく似ている。

ルティーナ王女は二人の兄いる。腹違いの第一王子、アルターナの王太子のアッシュレ王子、そして血の繋がった第二王子クラウドだ。


第一王子は皇后よりも国王に似ており茶色の短髪、髪と同じヘーゼル色の瞳で整った容姿、背丈もそれなりにあり何と言ってもスタイルがいい。24歳になり結婚適齢期でもあり令嬢から騒がれている。

アッシュレよりも一つ下の第二王子のクラウドもまた、母譲りの容姿でルティーナによく似ている。アッシュレに負けずと劣らない容姿さながらも病弱の為、表舞台に出てこない為、それも噂でしかない。


ルティーナの母は自分が幼い時に自ら命を経ってしまい彼女は母を知らない。しかし、彼女の実の兄、クラウドがいたので寂しさは埋められていた。クラウドは離れた塔で軟禁状態だったが、ルティーナの面会は許されていた。ルティーナは優しい兄のクラウドを慕っていた。幼い頃はルティーナは何も知らずただ優しい兄に甘えていただけだった。


ルティーナは兄に甘えているだけの王女だと知ったのは5歳の頃。

クラウドからその日は自分のところには決して来ないようにと言われた日だった。

幼いルティーナは、その日、兄と遊べない寂しさを我慢でかなかった。兄のいる塔へ向かい遠くからでも覗こうと向かった。


塔の前の広場でアッシュレと騎士が3人でクラウド囲んでいた。


ルティーナは侍女達に近づく事を止められたが様子がおかしいので振り切って近づくと兄が立つのがやっとの姿で立っていた。


「クラウド、病弱のお前を、私がわざわざ時間を裂いて鍛えているんだ。もう、倒れるとは、王族として情けない」


「アッシュレ兄様、お辞め下さい!」


ルティーナは、クラウドよりも遥かに大柄な騎士、3人相手に卑怯だと訴えようとした。これは剣の稽古ではない、ただの暴力だと。


「ルティーナ、辞めるんだ!」


クラウドに止められた。


「ルティーナ、私に命令するとは偉くなったな。辞めるかわりにお前は私に何をしてもらおうか?代わりにルティーナなが稽古してもその弱々しい体では面白くないが……」


アッシュレは笑顔で言うが目は殺気立っている。ルティーナは恐怖を感じた。ルティーナは泣く事しか出来なかった。アッシュレがルティーナに向ける視線を遮るようにクラウドは叫んだ。


「兄上、まだやれます!ルティーナ下がるんだ!」


アッシュレが再びクラウドに視線を向けた。その隙に侍女は泣いているルティーナを宮殿に連れて帰った。宮殿に向かう途中もルティーナの背後から兄の打たれる悲痛な呻き声が聞こえた。

無力な自分が、口を出したばかりにクラウドを更に苦しめてしまった。今まで、何も知らずにクラウドに甘えて来た自分が許せなかった。そして、兄を弄ぶアッシュレが憎かった。

そして、決心する。


(必ず今度はクラウド兄様をお助けできるよう、私は力をつけるわ)


ルティーナは、自分の宮殿に戻り子供の玩具など全て捨てた。そして、書く事、読む事に集中するようになった。やがてルティーナからは子供らしさは消えていったが、クラウドに対して変わる事はなかった。今までは絵本など読んで貰っていたが絵本が歴史書や社会論文に変わっていった事にクラウドは戸惑っていたがルティーナは構わず読めと催促する。ルティーナはクラウドには一応建前上、教育係りがいたが大した事を教えていなかった事を知った。


ならば、自分が兄を導けば良いと色んな分野の本を持っていった。


そしてルティーナが8歳の時に、隣国のバガラル国で衝撃的な事が起こった。


僅か10歳の第二王子の反乱だった。国王と王太子を殺し、新国王となった。それを聞いた時、頰が熱くなった。

今までは、諦めていた。アッシュレがいずれ国王になるのは当たり前の事で揺るぎない事だと思っていた。


(クラウド兄様は魔力もアッシュレお兄様と互角、可能性はあるわ。まずは味方を増やさなくては)


ルティーナは8歳にして、野望を持つのであった。


「婚約破棄になってからの事実〜聖女とわかってみんな態度が手のひら返し!人間不信になりそうなので逃亡したら王子が追いかけて来た!」の外伝です。前々から本編とシンクロできたらと思っていたものです。


「アルターナの王女の野望」だけでも読めるように構成しています。


本編共に読んで頂ければ幸いです。




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