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あいつがやりました

ガサッ


気配が近づく・・・これは・・・


すっと女性を見ると、くいっと視線を明後日の方向に。


逃げろ、か。


敵は1万のアライアンス級、雑魚か。

功に焦った子爵って所だろう。


俺が動かないのを見ると、諦め、気配の方向に注意を向ける。


ガサ・・・ガッ


視界に入ると同時、魔族の騎士に、女性が接敵。


「なっ?!」


チッ


女性の槍が、魔族の首元に突きつけられ、


「動くな。魔力を練っても分かる。一切抵抗するな」


ギンッ


殺気を放つ。

魔族が震え上がった。


「私の質問に正直に答えろ。誤魔化しや逡巡、拒否や嘘は、死につながると思え」



槍に魔力を込め、


「貴様の所属、部隊の規模、作戦内容、此処にいる目的を話せ」


「俺に何か有れば・・・親父が黙っていないぞ?全力を挙げて貴様を・・・殺す。死よりも惨めなやり方で、な」


ボッ


女性が魔族を突き刺す。

魔力が広がり、悲鳴をあげる暇すらなく、塵となって消えた。

ドロップ無しか。


フォッ


槍を振り、魔力残渣と血を振り切ると、


フッ


槍を虚空に仕舞った。

出し入れ自由かあ。


美しい槍だった。

蒼白く光っていた。

恐らく、LR。


女性は俺の方を見ると、


「アレを見てしまったか・・・これで、私の正体が分かっただろう?」


分からねえよ?!


「いや、全然」


女性は、ふっと苦笑し、


「そうか、なら、それで良い」


そう告げる。

いや、本気で分からないんですけど。

あの槍有名なの?


まあ、レベル1万超え魔族をあっさり倒すのだから、恐らく、標準よりは相当強い。


さて・・・


「とりあえず、此処は危ない。あんたはさっさと街に戻ってくれ」


女性は怪訝な顔で、


「キミは何を言っている。腕に覚えが有るようだが、魔族を見くびるな。今の戦いを見ただろう?」


さて、どうしたものか。


ぞわっ


周囲の木々が・・・空間が・・・震え上がる。

女性が、困惑した表情のまま固まり・・・青ざめ・・・


ザッ


膝をつき・・・


獣が・・・鳥が逃げ出し・・・


女性の目から、涙が流れ・・・


それが、来た。

先程の魔族は、位置を知らせる魔法を常に行使していた。

それが途切れたから様子を見に来たのだ。


「ぼんの反応が消えたが・・・うぬらか?」


それは確認であり、死刑宣告書への署名。


俺は、落ち着いて告げた。


「俺じゃない。そこの女性がやった。俺は関係ないから見逃してくれ」


女性が目を見開く。

いや、何心外そうな目をしてるんだ?

事実だぞ?


魔族は女性を一瞥する。


ガタガタ・・・


歯を打ち鳴らし、震える女性。

目から、口から、色々と流れている。

顔面は蒼白。


「真偽は分からぬが、うぬも生かさぬ」


「理不尽だな・・・だが、あまり暴れない方が良いぞ?街には実力者がひしめいている・・・此処で騒ぎを起こせば、そいつ等が駆けつける」


「雑魚が群れても構わんよ。我が軍は圧倒的な力を誇っておる」


やはり幹部か。


「圧倒的・・・どのくらいだ?」


「50万を超える軍勢ぞ」


うわ、大量だな。


「魔導獣は?」


「ぬ?貴様、詳しいようだな」


魔導獣。

魔族により創られた、攻城兵器。

超強いキメラだ。

下手な幹部魔族より強いし、でかい。


「3体投入しておるよ」


にっ


魔族が笑う。


「50万の軍勢に・・・魔導獣が3体も・・・」


俺は膝をつき、呻くように声を絞り出す。

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