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背景

「こちらから、メモリをロードできそうですが」


壊れた機械の様な物を、オトメがぺたぺたと触る。


「オメガ!」


エレノアが、従魔を呼び出す。

ロボット型の従魔。


ピピ・・・


壊れた端末に近付き、端末が光を明滅させ・・・


「直ぐには読めないですが・・・解読してみますぅ。楽しみ~」


エレノアが嬉しそうに、従魔を撫でる。


(此処はやはり・・・滅びた文明の施設ですね。枯渇する、世界を構成する要素・・・常態(ありよう)を保てなくなった世界で、崩壊していく姿(からだ)・・・より硬い(つよい)体を得ようとして研究していたようですね・・・失敗した様ですが)


オトメが、感傷的に呟く。

・・・悲しい運命、か。


それは、女神様の裁きの結果、か?


(いえ、これは。次元侵略者がその世界を構成する霊真(エーテル)を消費した結果、世界が保てなくなり、自壊しただけですね)


お前等のせいかよ。


(いえ、私達とは別の種族ですね)


色々いるのか。

・・・侵入されると、気付かない内に世界を構成する要素消費されて、気付いたら世界が崩壊していくのか。

凄く嫌だな。


(まったくです・・・発見次第、即駆除が必要な神敵というのも、納得です)


オトメが頷く。

ひとごとの様に言うなよ。


ビッ


「強種?!」


エレノアが警戒の声を上げる。


ガッ


俺がロリアの大剣で受け止めたのは・・・巨大な鉤爪。

大きな口、2本の腕の先には鋭い鉤爪。

口からは何本もの舌が伸び・・・


「これが・・・変容した躰・・・」


「いえ、これはただの、侵略種の兵士(ポーン)種です」


「・・・さいですか」


こっそり隠れて世界の基を吸うだけじゃないんですね。

普通に魔物っぽい感じで襲ってくるんですね。


「侵略種??」


エレノアが小首を傾げる。


ジッ


兵士種の目から光が放たれ・・・


ジッ


エレノアが咄嗟に張った魔法が、光を防ぐ。

光学兵装か。


照準(ロック)・・・斉射(ファイアー)


ジッ


オトメが放った光が、兵士種の頭を撃ち抜いた。


ドン


兵士種が倒れる。


(コロニーが見つかれば、直接的に資源の回収フェイズに入ります。兵士種は戦闘を担当する役目・・・防衛や、破壊が主ですね。資源回収を専門にする種をもつものもいれば。兵士種が収集役を担うものもいます)


そうですか。

本当に百害有るな。

・・・地球にはいないだろうな?


「オトメさん強いですねぇ」


「乙女ですから。恋する乙女は強いのです」


「恋する・・・ますたあの事ですか?」


「ふふふ・・・秘密です」


オトメが微笑む。


その後も、資料を収集しつつ、ぶらぶらと彷徨い。


「この世界は面白いですね。ちょっとした背景の様な場所も、色々な歴史が造り込んであって・・・もっともっと、この世界を知りたいですぅ」


エレノアが、のほほんと言う。

造り込んであるというか、面倒だからそのままにしてあると言うべきか。


「このまま魔法職を極める予定でしたが・・・錬金術師も楽しそうですね」


「前作には、特異職業(エクストラクラス)で、教授(プロフェッサー)ってのも居たけどな。後は、賢者(セージ)とか・・・」


「なるほど・・・そっちも楽しそうですぅ」


「職業スロットが2スロットあるからな。色々試してみると良い」


「はい!」


エレノアは、ふとおもいついた様に。


「そういえばますたぁ、魔法って詳しいですかぁ?」


「詳しくないぞ」


(ばっさりいきますね・・・)


ロリアがツッコミを入れる。


「そうですか・・・残念ですぅ」


「詳しくは無いが、話してみたら何か反応できるかも知れない」


やめるなよ。


「えっと・・・トキさんに教えて貰って、魔方式を組み立てるのは・・・確かに理論的で、正確なのですが・・・」


トキの構築した魔方式。

万人が、等しく、魔法を使う為の理論。


「何と言いますか・・・時々、省略して、直接こう・・・した方が早いと言いますか」


(トキ殿の魔法理論は素晴らしいが。どうしても迂遠な手順は多くなりますね。フェルなんかがやっていたのは、直接的に魔法を発現させていたので・・・発動時間も、威力も、効率も、疲労も・・・段違いでしょうね)


なるほど。


「エレノアの感じる通りだな。トキの魔法理論は素晴らしいが、感覚に頼って魔法を行使した方が、無駄は少ない。エレノアが感じた通り、練習すれば良いと思う」


「そうです・・・万人が使えるようにする為、どうしても遠回りになってしまう・・・のですよね」


エレノアが頷く。


「世界に命令して、無理矢理現象を起こさせるか・・・緻密に魔法式を構築して現象を起こすか・・・直接、魔法現象を構築するか・・・色々な方法が有る。やりやすい様にやると良い」


昔の俺なら、世界も命令を聞いていたが。

今くらいのレベルでは、ほぼ何も起きない。

恐らく、一番無駄が大きい方法だ。


(いや、そもそも、現象が起こせる方が異常なので、方法に含めて良いかどうか・・・)


ロリアのツッコミ。


「多分・・・最後の奴を目指したい・・・気がします!」


エレノアが、自分の手を見つめつつ、そう言った。

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