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明日の為に今日を生きる

現実世界。

帰ってきた。


別に未帰還者というわけでは無い。

稀には現実には戻ってきていた。

部屋からは出たことが無かったが。


そして・・・今は、ゲームの世界にもう戻れない。


「八百万の神々よ、此方より彼方へ、御魂は乖離し、化身は箱庭に、遊戯の場、我は此処に在る」


無論、秘密の言葉を唱えても意味はなく。


部屋は清潔だ。

お姉さんがこまめに掃除をしてくれているのだろう。

・・・よくよく考えてみれば、ずっとキャンペーンとやらで無料で利用させて貰っていたけど・・・本当に良かったのだろうか?


お腹が空いてきた。


「おい、月花」


語りかけ・・・頭を振る。

月花が居るわけが無いのだ。


激しい喪失感。

フェリオ達を失った時の比では無い。

もう月花には会えない。

あの世界には行けない。


水道をひねるが、水は出ない。

水道代を支払っていないから、水道を止められたのだろうか?


ふと思い立って、照明をつけようとするが・・・つかない。

当然、パソコンも起動しない。

電気代も、か。


親の遺産・・・まだ残っていたはずだ。

それがあれば、少しの間だけなら生活できる。


・・・そう、少しの間しか生活できない。


分かっている。


この無情な世界では、働かなければならない。


ふと、部屋の隅に何か積んであるのが見えた。

非常食にミネラルウォーター。

お姉さんが用意しておいてくれたのだろう。

本当に用意周到な人だ。


・・・


大切に食べさせて貰おう。


お腹を満たし、外に出る。

俺は・・・この世界で生きるんだ。

きっと、次のゲームに・・・巡り会う筈だ。

だから・・・俺は、外に出る。

俺は・・・働く。


違和感。

現実は、こんなに静かだっただろうか?

最後の記憶では、もっと人が居た筈なのだけど。


人の気配がしない。

俺は、現実では超人では無い。

なので、気配察知等できないのだけど。

それでも、人の気配を感じない。


外に出て・・・


崩れかけた家、塀に突っ込んだ車、放置された人の死体に・・・周囲に倒れる犬の死骸。


・・・?


何処だ、此処は?


かさ


部屋の外に置かれた手紙。

その手紙には・・・


「魔王打倒と人類救済、お疲れ様でした。少しですが、食料と水は用意しておきました。」


そう、可愛い文字で書かれていた。

お姉さんの字だ。


・・・知っていたのか。

ゲーム内での俺の事を。


電線が、切れている。

電気がつかないのは、そのせいだろう。

水道も・・・水道局が機能していないのか、配管が壊れているのか。


不意に悟った。


人類は、滅びかけていた。

だから・・・働く人がいないのだ。

ゲームに召喚されるのは、子供と老人は避けられる傾向があった。

働き手から先に消えたのだろう。


俺は・・・この世界で生き延びなければならない。

生きねばならない。

難易度最悪、達成可能かどうかの保証もない・・・クソクエスト。


それでも・・・


俺は、帰ってきたんだ。



後日談。


俺は、他の人がいないか彷徨い・・・お姉さんに遭遇。

お姉さんも、気付いたら会社の責任者を押しつけられていた上、社員もほぼ集まらず、苦労していたとか。

頼み込んで、お姉さんの会社で働かせて貰う事になった。

有り難い。


人類は、大半が死滅していた。


ゲーム内に召喚されて死んだ者もいれば、世話する人が居なくなり、餓死した人も居る。


それでも・・・ゲームが終わり、人類も前に進み始めた。

六英雄も、時々話題に上るので、上手くやってくれているようだ。

カゲだけはあまり話題にならないのだけど。


数年後には、娯楽も復活しはじめて・・・


俺は生きる。

いつか、またあの世界に戻れる日を信じて。

お付き合い下さり、大変有り難うございました。


この作品には、未来の話が存在します。


いつか続きを書きたい気もしますが、その場合は、NLJOより後の時代になりそうです。

主人公の子供とかが登場する可能性が有ります。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 完結させてるところ。 [気になる点] 結局のところ顔?????????? ほかに主人公にヒロインたちが落ちる要素が全く見当がつきませんでした。モテモテにするならそれなりの肩書きとかなんか…
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