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捜索願い

「おい、これは何だ?!」


叫ぶ。


「大丈夫です。クエストクリア条件を満たしたので、元の世界に帰るだけです」


月花の解説。


「お、やったか」


世界が・・・裂ける。


そして、元の世界に。


さて・・・これでダンジョンクリア数が。


・・・


おい。


「・・・フレア・・・ちゃん・・・?」


「何ですかぁ?」


きょとん、とフレアが小首を傾げる。


何故・・・消えない。


「おい、月花。向こうのフレアは消えるんじゃ無かったのか?」


月花が心外そうに言う。


「誰がそんな事言いましたか」


あれ・・・


「おにーさん、私はちゃんと、この世界の私と統合したょ?」


フレアが言う。


・・・


「まさか、元からいた方のフレアちゃんが・・・」


にこにこ、フレアが微笑んでいる。


・・・


大変な事をしたのでは・・・


「あ、それと、ダンジョンクリア数増えてないので」


月花が軽い感じで補足する。


「何でだ?!」


「何故と言われても・・・ご主人様、ダンジョン潜ってないですよね?」


・・・はっ。


「滅ぼす以外の可能性の検討・・・そんな意図で送り込んだのに、参考にならない解決方法だったので、ご不満らしいです」


「誰がだよ?!」


「禁則事項に抵触した為、情報の伝達に失敗しました」


「またか?!ちょっとは頑張れよ!」


「女神様です」


「誤魔化すなよ!」


女神様の名前出せば騙せると思うな。

流石に、適当言った事くらい、俺でも分かる。


とりあえず・・・フレアちゃんを何とか解放しないと・・・


「帰れ・・・?今更・・・?私には帰る場所何て無いのに・・・」


フレアが上目遣いに呟く。


「いや、ロリアの所帰ってやれよ?!」


どうしよう・・・


--


「シルビア殿!!」


翌日、ロリアが憔悴した表情で駆け込んできた。


「フレアが居なくなったか?」


「聞いて下さい、シルビア殿・・・実は・・・フレアの姿が昨日から見当たらなくて・・・夜になっても帰って来なく──待って下さい、今何と言いましたか?」


ふと、表情が怪訝な顔に変わり、こちらを見るロリア。


とりあえず、事情を話そう。


「フレアちゃんが・・・それは大変ですにょろ」


ワムテが心配そうに言い、ロリアの肩を優しく抱く。

キミ、さっきまでフレアと談笑してたよね。

後、フレアは何故送還されてるかね。


「そ、そうなんだ。フレアの実力なら、大抵の事は大丈夫だとは思うが・・・人間の中には我々を快く思わない方もいるし・・・叔父以上に醜悪な輩もいるし・・・」


ロリアが不安そうに漏らす。


「魔族の街を様子見に行って捕まったりしても大変にょろ」


ワムテがせっせと不安を煽る。


「ああ・・・フレア・・・」


ロリアが膝をつく。


『そこです・・・おねーさまの肩を抱き、優しく愛をささやくのですぅ』


フレアが話しかけてくる。

そこですじゃねえよ。

さっきから召喚命令出してるんだから早く出てこいよ。

君達、召喚命令無視できるの?


『お勧めは壁ドンにゃ。ご主人様なら余裕でいけるにゃ』


黙れ駄猫。

壁なんて見当たらないぞ。


ロリアが俺の手を掴み、目を見つめ、告げる。


「お願いします・・・シルビア殿・・・どうか・・・どうか、フレアを探すのを手伝って下さい!」


「すまん。フレアは俺の従魔になって居座ってる。何とか解放出来る方法は探すが、とりあえず連れ帰って欲しい」


風が吹き抜ける。

ロリアがぽかんとした顔で見てくる。

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