決別
「シルビア・・・考え直さない?」
漆黒の流れる様な髪を、腰まで伸ばした少女・・・フェルが、尋ねる。
それは、最後の最後の、確認。
「ごめん、フェル。俺は・・・俺のままでいたい」
何度目かの、宣言。
それは仲間への裏切りであり・・・人類への裏切りでもあり。
「シルビアの選択・・・個人的には、支持します。シルビアらしい、と思います」
ウェーブのかかった、黄金の髪の少女、リミアが言う。
溜息と共に続ける。
「ただ、人類への裏切りであり、人類の一員としては、思うところがありますが」
ぐふ。
「進むべき道が別れても、我々は親友だ。何かあれば呼んで欲しい。直ぐに駆けつけよう」
赤い髪の少女、ミストが言う。
「有り難う。心強いよ。俺も、ダンジョン攻略で困る事が有れば、呼んでくれ」
そう返す。
「珍しい物を見つけたら、また見せて欲しい」
銀髪の少女、フィロが言う。
「ああ、勿論」
鑑定を頼む事もあるしな。
「また一緒に訓練しよう」
蒼い髪の少女、アイリスが言う。
「・・・お手柔らかに頼むよ」
苦笑しながら返す。
「もしトラブルが有れば呼んで欲しい。排除する」
覆面で顔を隠した少女、イデアが言う。
「物騒な・・・それに、PKは避けたい」
頭を振って応える。
ここに集いしは、最強の集団。
トップギルド、『至高の六王』。
魔導王フェル。
聖王リミア。
剣王ミスト。
賢王フィロ。
騎士王アイリス。
影王イデア。
比類無き人類最強の6人。
それに・・・
凡夫、俺。
何故かギルドマスターをやっている。
尚、ギルド名に6が入っているのに、7人居るのは、深い意味は無い。
そこまで増える予定無かっただけだ。
みんなを見回すと・・・世界に告げる。
「世界よ・・・!」
一拍置き・・・様々な想い出が去来し・・・
「告げる・・・ブレイクギルド、至高の六王!」
世界が・・・弾けた。
そして・・・俺は、ギルドマスターでは無くなった。
これからは、別の道を歩む。
みんなは、人類を導き、全てを救う道を。
俺は・・・この世界を楽しむ道を。
カッ
決意を込め、お互いの武器を合わせ・・・
踵を返し、振り返らず・・・お互いの道を歩き始めた。