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チーター達の日常譚  作者: 青緑
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第1話

地球とは違う何処かにある世界 ゼロキア。


この世界はかつて魔王率いる魔物達によって支配されていた。


しかし、ある時突如現れた勇者達によって魔王は倒されゼロキア

には平和が訪れたのであった・・・







さて、前置きはここまでにして皆様こんにちは。ユウトと申します。 勇気の『勇』に人間の『人』で勇人です。この世界ではカタカナ表記になるんで関係ないですけど。


私は魔王を倒すために地球からこの世界へと連れてこられました。その時に神様から魔王を倒すための力を授かりました。所謂チートってやつです。神様とも互角に戦えるらしいです。


そうしてこの世界に来た私は仲間と共に魔王を討伐しました。

ええ、討伐してしまったんです・・・おや?説明中ですが誰か帰ってきたようです。


「ただいまー!」


帰ってきたのはレックス。魔王討伐のリーダーでゼロキア原産チーターその1です。私と同じくらいの実力を持ってます。


「お帰りなさい。どうでした?」

「大漁だぞ!」


そういって彼は竹かご一杯にはいった魚を見せてきました。

これで今晩もご飯が食べられます。


「お帰りなさいませ~。」


そんな声が今度は奥から聞こえ女性が出てきました。


彼女はエリザベータ。 ゼロキアにある国の一つであるフェルマニア王国第3王女でゼロキア原産チーターその2です。まあ今は王女じゃないんですが。


「ただいまエリー。 見ろ! こんなに取ってきたぞ!」


「まあ! 今夜はご馳走ですわね! こちらは後少しで終わりますわ~。」


エリーは部屋の奥で編み物をしています。彼女の編み物は高く売れるので助かっています。








・・・そろそろ疑問に思っている人もいるのではないでしょうか?


魔王討伐したくせにやってるのは魚釣りやら編み物。普通ならもっと豪華な生活をしてるはずです。


では、ちょうど夕御飯の材料が揃いましたし、何故私達がこんなに生活を送っているのか、料理しながら説明しましょう。




 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

「御飯何にしましょうか?」


「塩焼きかなー。」「ムニエルがいいですわ~。」


「こんなに取れたのに塩焼きは少し寂しいですし、ムニエルは材料が足りないです。」


「じゃあー」「それでは~」


「「お任せで!」」


「・・・」


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄






料理作る時にお任せって言われた方が何作るか困りますよね。


本当に何作ろう・・・ っと、そうだ。説明しなければ。


では、私達が何故このような生活をしているか、するハメになったのか、説明していきます。


まず、私達が魔王を倒してから1年ほどの生活はとても豪華でした。


魔王を倒した英雄ですからいろんな町のパレードに参加し、そこで出される豪華な料理を食べ、宿に無料で止まる。 とても楽しい時間でしたね。


ですがそれも長くは続きません。魔王が居なくなり時間がたてば皆それが当たり前だと思い始めます。


そして、魔王が居なくなったことで魔物も消え、勇者としての仕事もなくなります。私の力も使い道がなくなりました。チートといっても戦闘限定ですから。


それでも、生活は変わりませんでした。お金はは沢山ありましたし、仕事もありました。三人バラバラでしたけど。


住むところもエリーの仲間ということでお城の部屋を借りていました。



ですがちょうど1年前、事件が起こりました。


フェルマニア王国が他国から攻撃され、滅亡したのです。


まったく、外部に敵がいなくなれば今度は内部争いです。どうすれば争いはなくなるのでしょうね?


とにかく、フェルマニア王国の滅亡によってエリーは王女ではなくなり、私達三人は命を狙われるようになりました。


知名度のある私達を殺すことで革命等を起こさせないようにしたのでしょう。


ん?チート能力持ってるんじゃないかって?


いやーそれがですね。私の後に神様から送り込まれたチーターが敵にいましてね。それも多数。


私達は大苦戦して敗走。王都から遥か遠くのこの地に逃げて来ました。


以来、ここで静かに隠れ住んでいるのです。




とまぁこんな感じです。


改めて思い返すとたった数年なのに凄く濃い人生ですねぇ。魔王を倒した英雄から一気にお尋ね者ですよ。


住みかもお城から小さな木造の家へ。食事はコックの作る多種多様の料理から私が作る料理(2品)へ。服も安いぼろ切れのようなものになりましたし、ほんとこんなこと予想もしなかったです。


でもこの生活も慣れれば楽しいもんです。毎日様々な発見がありますし、なにより仲間と一緒にいられますから。


よし、やっと夕御飯が出来ました。麦飯とお刺身です。これでも豪華な方ですよ?


「レックス、エリー。ご飯出来ましたよ。」


「やっとか!待ちくたびれたぜ。」


「お腹ペコペコですわ~。」


料理をちゃぶ台へ持っていき、それを囲うように座ります。


「さあお待たせしました。それでは


「「いただきます!」」」








夕御飯を食べ、片付けも終わり、今日やることは終わりました。

後は、寝るだけです。


もちろんベットなんてないですよ。畳のようなところで雑魚寝です。三人一緒です。


「ふぁ~。 今日も疲れましたわ~。」


「そうですね。お腹も膨れましたし今日は良く寝られそうです。」


「だよな。 いやー 今日も無事に終われてなによりだ。」


ふと、私はあることを質問してみることにしました。


「二人とも。もし、元の生活に戻れるとしたらどうします?」


「ん?なんだよ突然。」


「もとの生活にですか~?」


「ええ。ちょっと気になりまして。」


「そうですわね~。戻れるなら戻りたいですわ~。でも~。」


少し間を開け、


「まだこの生活を続けてもいいかなと思いますわ~。今の暮らしも楽しいですし~。」


「俺もだな。もとの生活に戻ってもあまりやることないし、なにより、三人で一緒にいられるしな!」


「ふふっ同じ考えでよかったです。」


二人とも、もとの生活に戻りたいのではないかと心配していましたが杞憂でしたね。


この生活もまだまだ続くことになりそうです。


「それではおやすみなさい。二人とも。」


「おう、おやすみ。」


「おやすみなさい~。」


願わくは明日も三人で過ごせますように。

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