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旅立ち ミーナのために

突き刺さるような腕の痛みで目を覚ます。どうやら自分のベッドで眠っていたようだ。外を見ると既に日は落ちていた。音で気づいたのかガチャンとドアノブが動き母さんが入ってくる。

「良かった、お義父さんだけじゃなくあんたまで撃たれたと聞いて。」

目を赤くしながら言葉に詰まってしまう。

「じいちゃんはどうなったの?無事?」

すると母さんは

「息はあるよでもかなり重症で起き上がれないみたい」

「そっか後で顔見せに行くよ。」

「・・・・ごめん母さん、ミーナが人質になったと聞いていてもたってもいられなくて。あまりにも感情的だった。だけど考える前に体が動いていて。」

と話していた時に、オレの家族とミーナの家族が入ってくる。部屋に対して人が多くオレは

「皆心配してくれてありがとう。皆に話したいこともあるから向こうで。」

といい皆を広い部屋に集める。

みんなの顔がオレの方を向いたのを確認し話し始める。

「ごめんなさい自分がが勝手に動いたせいでミーナが連れ去られて。」

村長であるミーナのじいちゃんの方を向き改めて

「全責任はこの私にあります。どんな罰も受けるつもりです。」

自分のせいでミーナが・・・と思いつつ下げた頭を上げると村長が口を開いた。

「ならどんな罰を受けるつもりだ?」

逆に質問されてしまう。すぐに答えられず口ごもっていると珍しく大人しかった妹のマルーが口を開く。

「バカ兄貴本当のことをいいなさいよ。今すぐにでもミーナを助けに行きたいって。みんな知ってるんだよ。ミーナさんのこと大好きなんでしょ。バレてないと思ってるだろうけど私たちだけじゃなく村のみんな気づいてるよ。いつも団の仕事終えたあとあの木の下で休んでるよね。そこから楽しそうに子供たちの面倒見てるミーナさんが通りかかると優しそうな目で見つめてたでしょ。」

マルーがそこまで知っていたことに驚いてると今度は親父が口を開いた。

「お前は団でもよくやっている。息子という贔屓なしに実力もある。お前はいつも夜遅くに一人で鍛錬を積んでいたのをしている。団に入った日から一日も欠かさず。何故そこまでできる?」

「いやそれは村のためで村のみんなを守りたいから」

と当たり前の返答をする。

「それはみんなが思うこと誰のために剣を握るのか、たった一人あの娘のためだろ。あの娘のためだから撃たれるのもためらわず出て行ったんだろ。惚れた女のためにお前は何をする、何がしたい答えろ。」

父親の強い問い掛けにオレは

「ミーナがどう思ってるかは分からない。でもミーナのことがすきだ。優しい笑顔で笑うミーナのことを守りたい。愛おしくてたまらないんだ。村のみんなが大好きなミーナを必ず取り戻す。きっと今ミーナは怖くて辛いはず。もう一度この村にあのアネモネのような美しい心をもったミーナに帰ってきて欲しい。

だからお願いです。自分にこのケイマ・サンクトゥスに救出の旅に出させてください。お願いします。」

言ってしまった。包み隠さず全部。ミーナに対する想いも。

その後はミーナの家族の理解も含め皆理解してくれ今日はもう遅いと解散になった。オレはじいちゃんの様子を見に部屋に向かう。部屋に入るとじいちゃんがこちらに顔を向けた。オレは

「明日ミーナのためにこの村を出るよ。必ず連れて帰ってくるからじいちゃんも元気でいて。」

そういうとじいちゃんはいつの間に準備したのか枕元から一つの剣を差し出した。

「これを持っていけ。そしてまず王都に向かえ。国王ガルダスにこの剣を見せれば力をになってくれるだろう。まずは情報を集めることだ。必ず帰ってこいよ。」

そう言うと部屋を追い出されてしまった。どうして国王とつながりがあるのか尋ねたが答えてくれなかった。自分の部屋に戻りベッドに横になる。撃たれた傷は寝てる間に応急処置はされたようで痛みはするがそこまでの傷じゃない。今はミーナのことだけを考えよう。そうして眠りに就いた。


翌朝を迎えた。今日オレはこの村を去るんだ。村の広場で団の仲間を初め村の皆が見送ってくれた。この人たちの悲しませないよう必ずミーナを連れて帰ってくると心に固く誓う。王都を目指しオレはウマに跨り村を後にした。

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