最後の夜
今夜も家族と食事をとり一日の締めにまた一人剣の鍛錬を積む。自警団に入った日から毎日続けもう当たり前のように日々の日課になっていた。このコルッツェオ村の人々を守りたい、日々安心して暮らせるの幸せが続けばいいと。そしてなによりミーナにずっと笑っていて欲しいから、あの優しい瞳で子供たちを見つめるミーナを守り続けると心に固く誓った。それ以来力をつけること、剣の腕前を上げることにが生活の主となっていた。
だいぶ夜も深まってきたところで今日はもう御終いにすることにした。家に着き風呂に浸かりその日の疲れを癒す。自分の部屋に戻りベッドに横になり自然と目を閉じる。こんな何気ない日常が続けばいいと思っていた。続くだろうと思っていた。その日の夜が何げない日常の最後の日だった。
翌日いつものようにオレは自警団で活動していた。昼下がりになり少し開けたところで仲間たちと昼食をとる。腹を満たし午後の活動に移ろうとしたときパンパンと村の方から2回の銃声が聞こえた。驚く皆をよそにオレは団長に駆け寄り
「親父、俺に様子を見に行かせてくれ。ミーナが心配なんだ。」
無意識のうちにそう口が動いていた。
「わかったケイマお前に任せるとしよう。ただ気を抜くなよ。それと何かあったらすぐ俺に知らせろ分かったな。」
ほかにタルタとケイネスという二人の団員も引き連れ急いで村へ向かう。村に着くと既に村の人たちが広場に集まっていた。駆け寄ると中心部に村長と近くに倒れこむ俺のじいちゃんそれと向かい合うように顔も隠した黒ずくめの人が五人ほどいる。その背後で両側から押さえ込まれ捕まっているのはミーナっだった。その光景を目にした瞬間体に怒りが湧き村長の所へ歩み出る。
「ケイマ来ちゃダメ」
はっきりとした声をミーナが発する。
「ミーナを離せ」
そう叫ぶと5人のうちの一人が歩み出ると同時にオレに銃口を向けほかの四人が一斉に村人たちに銃を向けた。
「おい今の状況が分かるか?キサマらの命がこのたった5つの銃に委ねられているのがわかんねーか?」
「この娘を頂いていければ良かっただけだが聞き分けの悪い連中だな」
「つーかこの娘がお前に来るなと言ったな お前はこの娘のなんだ? まあいいひとつ見せしめに」
と言った刹那に右腕を3発の銃弾が貫く」
溢れ出る血と痛みを堪えつつなんとか立ち続ける。
ミーナの方を見ると気を失っていた。
「これで分かっただろ この村を離れるまで動くなよ 追いかけようなんて馬鹿な気を起こしても返り討ちにあうだけだからな」
という捨て台詞を吐きミーナが連れ去られるところをただ見ているだけしかできなかった。
ミーナを守れなかったという自責の念に襲われるとともに意識が遠のきオレは地面に倒れ込んだ。