プロローグ 〜SFN〜
『SFN』それは異世界ネットワークの略である。
SFNとは、この現代社会(2045年)に必要不可欠の存在である。
一体何故SFNはこの現代社会に必要不可欠になったのかを説明しよう。
SFN。それは世界的大企業の「SAGA」という企業が発明した、『NAC』を使用することでアクセスすることができる。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感が正確に再現されたもう一つの世界である。
そして現在では、この異世界を使い、ほとんどのビジネスは動いている。それだけではない。学校、ショッピングなどもすべてSFN内で行える。
しかし、SFN内での飲食睡眠は、現実世界では無効なので、SFNの世界だけで生きていくのはできないのだ。
何故なら、NACはあくまで脳と直接リンクして、異世界の映像を脳を送り込んでいるだけなので、飲食などのエネルギー摂取は不可能なのだ。
そして、SFNが開発されて以来、人間の身体能力の平均値はどんどん下がっていくばかり、超ネット依存社会へとなったのである。
「ついにきた……」
少年は言った。
「俺の真のSFN生活がついに………」
少年は部屋の真ん中で拳を天高く振り上げ。
「始まるんだぁぁぁぁああ!!」
雄叫びを上げている少年、坂田万里は、今日から高校生なのだ。SFNができてから、高校生、つまり義務教育卒業は、とても大切な資格なのだ。一体何故大切なのかというと、義務教育卒業から、SFN内での『WR』が獲得できるようになるのだ。
WRとは、SFN内に存在するフリーサーバーで選択できる、職業のようなものだ。
WRの種類はおよそ100種類近くある。
義務教育卒業で得られるのは、それだけではない。義務教育中はSFN内を厳重に制限されているため、全く自由気ままに生活できなくて、現実世界の方がいいとまで思えてしまうほどだ。
「早速アクセスしよう!」
俺は、胸を高鳴らせながら、首元のNACをタッチし、空気中にタッチパネル、正確にはNACメニューを展開させ、慣れた手つきで操作する。
そして、SFNを選択し、部屋のベッドに横たわった。
「SFN、アクセス開始」
目をつむり、ゆっくり深呼吸する。そうすると、どんどん意識が薄れていった。
目を開けると、そこには現実世界では考えられない世界が広がっていた。
現実世界ではコスプレと勘違いされそうな格好の人ばかりだか、その服装にはちゃんと意味があり、腕力強化や、脚力強化などの『スキル』が備わっているため、このような格好になるのは仕方がないのだ。
俺はSFNメニューをスライドさせて、WRの文字を探す。
「あれ?…ええと…。あ!、あったあった!」
一番下に『WR』と書かれたメニューを発見した。
「アァ……。ヤベえ!心臓ヤベえ!」
俺は手を震わせながら画面を操作する。
「めっちゃ沢山あるなぁ…。自衛隊、鍛冶屋、雑貨屋、スポーツ選手…。数えきれねぇ。」
俺はたっぷり五分ほど探していると、これだ!といものを発見した。
「バトラー?スポーツの一種か?、一応格ゲーなら地区大会優勝経験あるぞ?」
バトラーかぁ……。いつか格ゲーで食っていきたいと思ってたんだよ。なんてグットタイミング!
そんなことを思いながら、俺はためらいもなくバトラーを選択した。
次のメニューへと移動し、そこには、バトラーWRスキルというものがずらっと並んでいた。
その種類は多種多様でとても沢山揃っている。
スキルの獲得は三つまでと決まっている。
しかし、俺はためらいもなくその三つを選択した。
それは、『スローアイ』、『空間支配力強化』、『脚力強化』の三つだ。
スローアイとは、動体視力を底上げするスキルだ。
選択し終えると、画面に「ライセンス獲得」とでて、WR選択が終了した。
「やっと始まるんだ。俺のドリームLIFE!!」
俺は「オオおおおお!!」と叫びながらSFNの世界を走り続けた。
これから始まるデスゲームなど、彼は知る余地も無い……。