ょぅι゛ょとベーゴマ
ビー玉 ベーゴマ 風船ガム
ニッキ メンコ おはじき 竹とんぼ
「いぬるしゃん、がったいでしゅ!」
ミミルがジャンプするとその足元にイヌルが駆けて来て、ミミルはイヌルの上に着地する形になる。
そのままミミルの下半身を取り込む形に変形するイヌル。
「いぬるしゃん、けんたうろすもーどでしゅっ!」
シルバーくんのお母さんであるクレアさんが副リーダーを務める冒険者パーティーのリーダーであるケンタウロスのケンさんに会ったミミル。
馬部分の背中に乗せて貰ったりとすっかり可愛がってもらったが、その後、田中さんのトコで見せてもらった合体ロボットアニメのせいか、こんなことをする様になってしまった。
大部分はイヌルのままなのだが尻尾を含めた下半身でミミルの下半身を覆っている。ミミルいわく「けんたうろすもーど」なのだそうだが、イヌルの頭はそのままの上に、ミミルの胴体の有る位置が後ろ側なので、ケンタウロスというよりスキュラの萌え擬人化といった塩梅になっている。
得意げな表情が微笑ましいんで、そういう野暮な突っ込みはしないけどな?
「むんす」といった感じで力を入れて持ち上げると、自分の前にニシャちゃんを乗せている。
なんせレベルだけで言えば2号や4号と同じだからな、ミミルは。
力も幼児では考えられない力強さだ。
暴力とかそういうことを好まないからいいが、下手に力を振るったら同年代の子ども相手では(シルバーくんの様な特殊な相手を除いて)命に関わる。
この辺も魔法だけじゃなく「お勉強」しないといけないところだな。
ちょっとおっかなびっくりだったニシャちゃんも、ミミルに後ろから抱きつかれている形になっているのでニコニコだ。
「いぬるしゃん、ごー! でしゅ」
「わっわっ、ミミルちゃーん!」
「きゃはははは・・・」
「わ、わわわわ・・・」
いつもの調子でイヌルが駆けているが、ニシャちゃんでは乗るのが難しい動きでもミミルがしっかりと抱きかかえる形になっているため、落ちたりはしない。
まあ、そのせいで、普段じゃ有り得ないほど怖い目にあってるんだがな、ニシャちゃん。
「ミミル! ニシャちゃんが怖がってるから、ゆっくり歩かせないとダメだよ? ニシャちゃんごめんね」
「ふぇ、にしゃたん、たのしくなかったでしゅか? ごめんなしゃい」
小さい内は自分が楽しい=みんな楽しいって考えになりがちだからな。
その辺放置すると苦手→嫌いと関係悪化にもつながる。
ウサルで注意すると泣きそうになったミミルの頭をニシャちゃんが撫でている。
本当はニシャちゃんの口から「嫌だ、怖い」と言って貰った方がいいんだけど、性格的に無理だからなぁ、ニシャちゃんの場合。
子どもの内に喧嘩をきちんとして、いい範囲、ダメな範囲、仲直りの仕方なんてのを少しずつ学んでいかないと、友達ではなく、「友人っぽいもの」しか作れなくなってしまう。
そういう点ではシルバーくんはいい相手だな。
ミミルと遜色ないくらい強くて手加減しなくても大丈夫そう、って点では困ってしまうが、その点はお互い様だろう。
シルバーくんは町の男の子たちと遊ぶ時以上にミミル相手だと遠慮が無いし。
そうこうする内にミミルも落ち着いたのか、とっことっことイヌルが歩き出した。
ニシャちゃんが笑い、ミミルも笑う。
いい光景なんだから、そこで鼻血出してるんじゃないよ、駄冒険者どもが!
◆
◆
クズ雷石を使ったアメリカンクラッカーのブームはひとまず落ち着きを見せている(誰も彼もがやってる状況でないが、まだ遊んでいる子は居る)が、次なるブームが早くも生まれている。
ベーゴマだ。
これもまたファンタジーならではの素材が使われている。
クズ風石だ。
冒険者の採掘はいまだに続いているというか立派に産業化しつつあるが、副産物としてクズ雷石や役に立つ素材以外の素材も溢れた。
火石なんかはクズでも調理などの火種として十分需要があるので問題は無いが、風石の場合は大きなものや純度の高いものはともかく、クズレベルでは使いようが無い。
田中さんもガーデオもこれらのクズ風石も大量に抱え込み、親方衆の周りにも溢れて「なんとかならねえか?」となった。
最初に試作したのはヨーヨーだ。
回すと風の流れが少し発生するが、サンダークラッカーほどのその素材を使ったからという効果は見られなかった。
これは保留ということで次にパラシュートおもちゃを試作。
落ちてくる速度は遅くなったが、別にわざわざ風石を使わなくても重りとパラシュートのバランスでいくらでも調整が効く範囲ということで、これも没。
最後に作ったベーゴマだが、これは見事に「ならでは」の効果が出た。
ほんのわずかではあるが「地面から浮いて」回るのだ。
「これはいいんじゃないか?」
「我輩、ちょっと超伝導を思い出しましたよ!」
「いいな、これなら俺でも欲しい」
それ以前にもコマはあったが、この宙に浮くコマは見た目のインパクトで非常に受けた。
なんせ子どもだけでなく、大人まで買っていったのだから。
見習い、若手職人の修行としても、きちんとした形、バランスを考えて作るという点でいい練習となっている。
物のバランスは一見、見かけではきちんとしている様に見えても取れていないことが多く、その辺りを理解するのは非常に難しい。
基本の更に上のレベルの作成では、わざとその辺を崩すことを要求されることもあるが、それもあくまできちんとバランスを理解した上でやらなければ意味が無い。
このベーゴマの場合、バランスが取れていれば回り、取れていなければ上下がひっくり返って止まり、酷い出来だとそもそも回らないという、一発で分かる形で結果が出るのも、親方衆が口うるさく言うよりよっぽど効果があったようで、石細工に全く関係の無い職人でもバランスの取り方の訓練や理解に役に立つと作り手側も満足するwin-winの関係だ。
ミミルやニシャちゃんはまだうまく紐が巻けないのでウサルが巻いているが、ベーゴマを楽しみ、子供同士だけでなく、アマンダの店に来る冒険者たちとも対戦している。
器用さは多少は関係するが、体格も魔力も腕力も関係が無い。
大人と子どもが全く同じ土俵で戦えるのがベーゴマだ。
最初はミミルとのお付き合いで始めた冒険者たちも、今ではムキになってコマを回し、対戦している。
「やったー! みみるのかちでしゅよー!」
「くっそー、負けてしまった! でも、ミミルちゃん可愛いー!」
コルシオもそんなムキになってしまった組の一人だ。
真剣に向き合っているか、お世話をする感覚かは子どもには敏感に分かる。
ましてや人より鋭い部分が多くあるミミルの場合は当然だ。
と考えるとミミルの笑顔がいつも以上にキラキラしているのが、コルシオのサポートも大きいということか。
今度、一杯でも奢るか?
◆
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「いやいや、我輩は田中などという名前ではないのですぞ?」
駄菓子屋でそう言いながら子どもを構う赤モップ。
隣の緑の怪獣はガーデオか?
付き合いがいいなぁ。
「この世界は着ぐるみが無いから『こういう生き物』だと思われてるみたいで面白いね」
中でいい笑顔をしているのが目に見えるようだ。
田中さんに振り回されてるとは言っても、ガーデオがこれまでの長い人生で接して来た、変な欲がらみじゃない分気分はいいのかもな?
国だ、貴族だ、王だ、教会だ、なんてのに鬱陶しさを感じて来た人間からすると「こうした方が面白くね!?」とノリだけで言ってくる田中さんみたいな人は友人として有難い存在だろう。
こう見えて田中さんも空気読むしな。
「さー、次のお話はシンデレラですぞ? ご存知、ないのですか!? 彼女こそ、代役からチャンスを 掴み、スターの座を駆け上がっている、超時空シンデレラ、ラ○カちゃんです!」
おい、なんでそうなる!
元ネタの方知らねえんだから、こっちの世界の子、それがシンデレラだと思っちまうじゃねえか!!
途中からGUMIの歌になってるし・・・中の人は同じだけどさ。
ボカロと人間の歌い手ごっちゃにしちゃうのはマズいんじゃ?
まあ、セイレーンとかローレライとか、人間より声域広いらしいけどさ?
で、スパ□ボMAD映像とか節操無いな。
「ランカキラー」かよ!
意外と覚えてるもんだな、俺も。
個人エピソード忘れてオタネタ覚えてるって酷くね?
親戚とか小学校時代の友達の顔忘れてんのに、「キラッ☆」は覚えてるんだぜ・・・。
「うしゃるたーん! きらっ☆」
ポーズをとって見せるミミル。
それアマンダの宿でやったら冒険者どもが鼻血祭りだぞ?
うん、色々と俺らしくも無く考え込んじゃったが、ミミルが可愛いからいっか・・・。
若い人には分からないネタでした(前書き部分)