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ょぅι゛ょとねんど

流石にミミルはデンプシー・ロールは打ちません

将来的には分かりませんが^^;

 ポン、ポン、ポン、ポス、ポム、ポン、ポス・・・。

 「いい調子だよ、ミミル! はい、ワン・ツー!」


 髪の操作の初歩の練習第一弾ということで、起き上がりこぼしの原理で下側を重くして、やわらかくした体を大きく上に伸ばしたウサルがミミルのパンチの的として練習台になっている。


 これは決して分身に対する嫉妬からくる折檻ではない、適当な的となるものなんか作れないんだから変形で済ませるしかないだろ?

 それに幼女のぽふぽふパンチなんて、罰と言うよりご褒美だろJK。


 形や質感を変えるのは難しいので、ウサルパンチと同じ様なパンチの形状を作るのは本体で行い、ミミルはまずはそのパンチを動かす練習だ。

 ミミルは意外と足腰がしっかりしているから平気だけれど、同年代の普通の子だとパンチの勢いに振り回されて、一発一発バランスを崩してしまい、連打することは難しいだろう。

 時々打ち損じて「ポスっ」という感じになってしまっているが、そこはご愛嬌である。

 パンチを打っているミミルの後ろでは、シルバーくんが「つぎはぼくね!」と言わんばかりにウズウズしながら待ち構えている。尻尾がぶんぶんと上機嫌だ。

 更にその隣にはニシャちゃんが、ガーデオから貰ったひまわりの様な花の形状をした魔法の杖を持ってワクワクしている。


 がんばれ、ウサル!





 ◆

 ◆




 2号と4号の冒険者活動だけでなく、本体の不可視の糸の防御網でも狩りをしているため、街中でミミルと暮らしていても一定のペースでレベルアップはしている。

 不可視の監視網は張り巡らせた周辺の探知が出来る上に、必要に応じてはその部分に目玉や耳を作ったり、針や刃を作ったり出来る。存在を知らない人、つまりは俺以外から見れば、何も無い空間や地面に唐突に目玉が現れるのだ、ホラーな光景だろう。

 今までは、おそらくそうじゃないかな? 程度に思っていた俺の影響でのレベルアップ。今回、ミミルは初めてそれを実感したようだ。

 俺がレベルアップ感を感じると同時にミミルも「ほわ?」と可愛い声で反応を示し、あたりをキョロキョロ見回していた。


 「ミミルどうしたの?」

 「まほうがじょうずにちゅかえるきがしましゅ!」

 レベルが上がって制御も上がったってことかな?

 今までは魔法を知らなかったから、言葉にしてその変化を説明出来なかったのかも知れない。


 「『ひかりよ!』」

 「おお、ミミル、前よりうまくなったね!」

 「えへへ」


 バレーボール大だった光の球がテニスボールサイズになっている。

 光の密度も前より高いみたいだ。


 レベルアップで制御がうまくなるなら、なるべくレベルを上げた方がいいかな?

 ガーデオとその辺を相談してみるかな?




 ◆

 ◆




 今日は喫茶店の定休日なので魔法のお勉強。


 「お土産だよ!」と綺麗な石をペンダントに加工したものを、ミミルとニシャちゃんそれぞれにプレゼントしているが、ずいぶんとレアリティの高そうな石だな?


 「ちょっと土遊びをしたら珍しい石を見つけてね? 少し加工してペンダントにしたんだ。」


 「がーでおしゃん、ありがとー!」

 「ありがとーごじゃいましゅ!」


 石に負けないぐらい目を輝かせて、本当にミミルは可愛いなぁ。


 喉を撫でたらそのままゴロゴロと目を細めそうなニシャちゃんも確かに可愛いが、ミミルが一番だ!


 にしても土遊びねえ・・・。

 そりゃ三千メートル分いじりゃ石の一つや二つは出てくるか。


 

 「で、どうせ見た目だけじゃないんだろ? あれ。」

 「危険性は全くないよ、うん。単なる防御系のエンチャント。」

 「単なるねぇ・・・。」

 「ほら、いちいち服にエンチャントかけたり、エンチャント素材で服を作ったりするのは大変でしょ?」

 「まあ、確かに・・・てか、俺はそういったものの作り方自体知らないけどな!」

 「女の子だしさ、やっぱ自分の好きな服を着たいだろうし、今はまだ人の選んだ服を着てるけど、その内自分で選んだ服を着たがるだろうし・・・。」

 「買い物自体が女の子の娯楽みたいなもんだしな。」

 「だから、着ている服を強化するエンチャントのペンダントを作ってみました! パチパチパチ・・・いいんだよ、拍手しても?」

 「どういうこと?」

 「ペンダント着けてれば布の服だろうが、スクール水着だろうが、メイド服だろうが、伝説の鎧に負けない防御力になります!」

 「なんだよ、そのチートアイテム・・・。」

 「流石にこの効果だと僕でもゼロから作るのは難しかったんだけどね? さすが王城に選ばれる土地だけあって、地下にあんな石があったからね。お土産にも丁度いいし持って帰って来たんだ。」

 「それ城の加護とか魔法防御とかに関係してねえか?」

 「さあ? 拾ったもんだし、分からないね!」


 分かっててやってやがるな、さすがショタジジイ。

 いい笑顔してやがる。




 ◆

 ◆




 お泊り会以降、ウサルマットはシルバーくんとニシャちゃんのお気に入りになってしまった。

 別段、部屋の中でなくても一定の広さがあれば出来るので、俺たちが泊まっている部屋にこだわることはない。

 なもんだから、今回は駄菓子屋でのアニメ上映会場でウサルがマット化したわけなんだが・・・。


 「きゃっきゃっ!」

 「いやっほぅー!」

 「おもしろーい!」

 「おててちゅないでじゃんぷしよ?」

 「わーん、タグくんがぶった~!」

 「あしふまないでよ!」


 と、他の子どもたちも混じって大騒ぎだ。


 大勢居過ぎてぶつかりあったりとちょっと危なくなって来たので、ルールを決めてゲームのように。


 「「じゃんけんぽん!」」

 「かったー!」

 「まけちゃった・・・」


 じゃんけんで勝った子が中にい続けて、負けると交代。

 お姉さんな子にちょっとお話をして、なかなか勝てずにいる子や、小さくて一人ではうまく遊べない子のフォローをお願いした。


 「あー、つかれちゃったなぁ、チェンジだチェンジ、こんどはおまえがおれとかわれ!」


 ちょっと棒読みだけど年長の男の子も空気を読んで、適当なところでじゃんけんに関係無く他の子と交代したりしている。


 仲良きことは美しきかな・・・だな。


 ・・・いや、だから、骨!

 しれっと子どもに混じってるんじゃねーよ!




 ◆

 ◆



 

 外は雨が降っているので、今日は部屋の中でねんど(?)あそび。

 クエスチョンマークが付いているのは、ねんどの役割をウサルたちがしているからだ。

 実はこれも本体操作の練習の一環。

 手による加工だけでなく、思念や魔力にも反応して変形する様にしているのだ。

 これで形状を変えるという操作に慣れてもらい、ゆくゆくは手を使わずに変形出来る方向へ誘導する予定。

 まあ、とっかかりなんで、現状は完全にお遊びなんだけどね。


 「ミミルはなにを作っているのかな?」

 「うしゃるたん!」


 まんじゅうの様な形をウサルねんどで作っているミミルに尋ねたところ、そんな答えが返ってきた。

 ウサルでウサルの形を作る、ある意味シュールだな。


 ねんどそのものの質感にしているので、丸めたり、こねたり、ちぎったりは簡単に出来る。

 手も汚れないし、思念の影響も受けるから、ただ手で作るよりは「思い通り」に形を作れる。

 焼いたり、水で表面を滑らかにしたりは出来ないが、ツルツルにしようと思って触ればツルツルになるし、ザラザラにしようと思って触ればザラザラになる。色だって思った通りに変えられるんだぜ?


 なかなかの優れものじゃね?

 長期間本体と離れられないから売る訳にはいかないが、知育玩具としても通用するレベルだろ?


 けっこう自分でも会心の出来だったのだろう。

 手を並べた上に自分の作ったウサルを乗せて「できましたー!」とニコニコ。

 そんなところにやはり雨で退屈していたシルバーくんもお母さんと一緒に遊びにきた。

 「お、なにやってんの!? なんかおもしろそう。ぼくにもやらせて!」

 「うしゃるたんをちゅくったんでしゅよ~! しゅごいでしょ!」

 「ぼくはなにをつくるかな、やっぱおとうさんかな?」


 さて、四足のシルバーくんがどうやってねんど細工をするのか?

 その答えは「魔力の手」である。

 前世知識的にいうとゲーム用語でなく超心理学用語の方の「PK」に近いが、あそこまで漠然としたものではなく、体の中や周囲の魔力を操作して、実際の手と同じ様に動かすというもの。

 亜人、特に人に混じって暮らす亜人で手の様な器官を持っていない者は、割と普通にこの「魔力の手」を取得しているのだとか。

 精度や力強さの差はあっても、使えない者はめったにいないそうだ。

 たぶん、俺はこれすら使えないだろう・・・・・・。


 特にシルバーくんやそのお母さんの種族であるフォレストウルフは「幻想種」と呼ばれる、病気や怪我で死なない限り寿命が無く、年を重ねるごとにどんどんと精霊に近付いていって最終的には精霊になってしまう種族なので、魔力の利用に長けているのだそうだ。


 聞いちゃマズいのかな、と思って尋ねずにいたシルバーくんのお父さんは、かなり年を重ねたフォレストウルフだったそうで、シルバー君が今より小さい頃、精霊になってしまったのだという。


 「時々、様子を見に来たりするんですよぉ。まあ、あちこちに子どもやら子孫やらが居るんで、心配性だからしょっちゅう駆けずり回ってるんですけど、あの人。」

 神様だけじゃなく、精霊も俗っぽいんだな・・・。


 ミミルがコネコネ、シルバーくんもコネコネ、どっちも夢中でウサルねんどをいじっている。

 

 「これは魔力の使い方の練習になりますわねぇ」とクレアさん。

 そう言いながら自分もやってるけど、それって粘土ってよりパン生地的な扱いじゃね?

 焼けばおいしいクロワッサンになりそうな?


 食べる気ですか、まさか?





 ◆

 ◆




 雨も上がって翌日。

 昨日、会えなかった分を取り返すかの様にニシャちゃんはミミルに引っ付き虫だ。

 「ミミルちゃん分を補給~♪」といった意識はないのだろうが、なんかそういう感じだ。

 朝ごはんを食べ終えるかどうかってトコで襲来して以来ずっとそうで、「トイレとか大丈夫なのだろうか」と、いらん心配をしてしまう。


 引っ付いたまま、二人で出来る事・・・というわけで歌を歌っているミミルとニシャちゃんだが、俺はこの世界に来てから、この世界の音楽と言えるものを聞いたのは、ミミル作のオリジナルソングくらいしかない。


 なもんだから、二人で歌うとなれば・・・こうなるよな。


 ミミルとニシャちゃんのアニメソングコンサート。

 ショタジジイや骨だったら、金を払ってでも聞きたがるだろう。


 ウサルたちで手拍子をして、「上手だね」「可愛いよ!」と声援まで送る。

 

 それでも引っ付き虫なニシャちゃんに、微妙に百合百合しいものを感じるが、俺の心の目が曇ってるだけだよな?

 いかんなぁ、仲のいい女の子たちをそういう目で見たら。


 彼女たちが人の心を読む力を持ってなくて良かった、と心から思うダメな俺だった。




シルバーくんのお父さんは、そういう訳で元フォレストウルフの精霊です

子孫へのフォローで手一杯で人間や亜人に加護は与えてません

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