Time limit
「ちこくー!」
私は慌てて玄関を飛び出した。
現在7時50分。8時には学校に着いていなければならない。
遅刻はだめ。絶対に。なぜなら今日は入試のある日だから。
今日は一生に一度の運命の日。今日の為に一生懸命勉強してきたその努力を無駄にはしたくない。ここから、学校まで徒歩20分。全力で走ったら何とかなるかもしれない。
こんな時に・・・。
信号は赤。ここの信号は青の時はかなり短く、赤の時はかなり長いと一番嫌な信号だ。
カチカチ・・。
私は腕時計を見た。7時53分。大丈夫なのだろうか?このまま私が遅刻したら?入試を受けることが出来なかったら?不安の波が押し寄せる。そんなことを考えていたら信号が青になった。
私はまた全力で走る。何も考えずに。
走る。
走る。
とにかく走った。
Time limitは・・あと・・5分。
遠くの方に学校の正門が見えてくる。
ホッ・・きっと神様が私のことを見てくれているのだ。
そう思った私は、またグンッとスピードを上げた。
現在7時57分。
まだ、間に合う。大丈夫。
そう自分に言い聞かせる。
学校の正門に着いた。
私は急いで玄関に行き、靴を履き替え、教室に向かった。
現在・・・8時1分!?
や、やばい。最高速のスピードで教室の前に立った私は少し息を潜めた。
そして、ガラガラガラーとドアを開けた。
・・あれ?誰もいない。
教室間違えた?ここは1-C間違いない。合っている。
私は学校の時計を見た。
あれ!?私は目を疑った。
現在7時3分。私は腕時計と、学校の時計を見比べる。
この・・腕時計・・一時間早い・・・。
と、いうことは・・入試は一時間後・・?
・・・な~んだ・・。
これも2年ほど前に書いたものです・・・