玉ねぎ…こんな感じでむいてみよ?
頭からはえた白銀の刃は彼女の純白さを引き立てる。
何枚もの皮で覆われた彼女の心は、どれほどむけばみえてくるのだろうか?
少し青々とした様子から、まだうら若い乙女だということが伺える。あぁ。私なんかが彼女に触れていいのだろうか?
彼女の心に触れようと近づくたび、彼女の嘆きが私の心に突き刺さる……。
私は視界がぼやけていくのも構わず、彼女の心をまさぐった。
私の瞳から、涙がこぼれ落ちる時、やっと…やっと彼女の心がみえた。
外見にそぐわぬほど、うっすら透明がかったほんのひとかけら……。
これが彼女の心だった。