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次の日、起きてみると私の部屋の床に孤が寝ていた。
「孤、寒くなかったのかしら?」
ちゃっかり私はベッドに寝ていたので寒くはなかったが、この季節、孤は大丈夫だったのだろうか。
「孤……大丈夫?」
そうっと呼び掛けても返事がない。死んでしまったのかと一瞬馬鹿な想像をしたが、すうすうという静かな寝息が聞こえるのを確認してほっとした。
「起きないわ……疲れてるのかしら。まだ寝かせておいた方がいいのかしらね」
私は、私の毛布をそっと孤にかけてから忍び足でキッチンに向かった。
朝食を作った後、静かに孤が起きているかどうかを確かめるために私は部屋のドアを開けた。
「孤……?」
「ん……ああ、冴か」
小さな声で呼び掛けると眠そうな声で返事が返ってきた。
「ご飯食べる?孤」
「冴のご飯?」
「そうよ」
「じゃあ食べる」
孤は即答して跳ね起きた。毛布が床に滑り落ちる。そこで何かに気付いたように振り返った。
「あ、そうだそうだ、この毛布、冴が掛けてくれたんだろ、ありがとな」
「いいわよ。私も気が利かなくてごめんなさい」
「あはは、いいっていいって。それよりご飯だご飯だ!」
弾んだ足取りで孤は部屋を出ていき、私は孤の後を追った。
その日、私は学校を休んだ。




