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食事が終わった私と孤は、また私の部屋に戻った。

「なあ、冴。ここって屋上あるか?」

「?あるけどドアが壊れてて入れないわよ」

投げやりに私が答えると、孤はにやっと笑った。

「ちょうどいい、そこにしよーぜ。話も聞かれる恐れはないだろ?」

立ち上がりかけた孤の服の裾を、私は慌ててつかんだ。

「私の話、聞いてなかったの?屋上のドアは開かないわよ」

「あ、そっか。人間は飛べねーんだった」

しまったな、と頭をかく孤。

「あっちゃー、どうするかな」

「もう、1人で上がってどうするのよ。独り言でも言うつもり?」

私の言葉を聞いて、孤はなにかいたずらを思いついたようにきらきらした瞳でこちらを見た。

「そうだよ。頭いいな、冴」

「え、まさか……」

「ベランダ借りるな」

私は悪い予感が的中したことを悟った。

孤は私の気も知らずに機嫌のよさそうな顔で近づいてきて、

「きゃっ!」

私をいわゆる……お姫様だっこというやつで抱えあげた。

しばらく呆然としていた私も、孤がベランダに出たところで正気に戻った。

「ち、ちょっと孤、あなた何して……!」

「暴れると落ちるからやめろよな、よっと」

一瞬ののち、私と孤は屋上にいた。暴れる暇もない。

「ほら、おろしたぞ」

「……あ、うん。ありがと……」

慌てて私は屋上のコンクリートの地面から立ち上がった。

「ここ、フェンスないみたいだから気をつけろよ」

「分かってる……でも、ここの縁に足をかけて座ったら気持ちよさそうよね」

つい私は屋上からの夜景の綺麗さに圧倒されて、縁に腰掛けて足をぱたぱたさせた。

孤は仕方ないなというように笑うと私のとなりに腰掛けた。


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