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「!?」

重なった、と思った時、すでに孤の手が私の頬から離れていて、孤は後ろに倒れた。

「孤……孤っ!」

私は必死に孤を呼んだ。

今まで倒れてきた時とは違い、明らかに呼吸が早くなっている。

「孤!孤ってば!死なないでよ……!」

動かしてはいけないとは思うものの、孤を揺さぶってしまう。

半狂乱になって名前を呼ぶ声が届いたかのように、孤は目を開いた。

「冴……ごめん……オレ、もうダメみたいだ……」

「な……なんでよ……今、一緒に生きようって言ったのに!永遠の生のあるセカイを探すはずだったのに……!ひどいわ孤!」

頭では分かっているのに。もう孤を失うって分かってるのに。

どうしても諦めたくない自分がいる。

「イヤよ!孤、死んじゃイヤっ!私が死ねないようにしておいて自分は死んじゃうの!?ずるいわよ!孤はわがままだわ!」

どうでもいいことばっかり言って。引き止められる訳がないのに。

「孤ってば、ねぇ孤……!」

口元に小さく笑みを浮かべたまま、孤は黙って私の叫びを聞いていた。

「ありがとう……冴。そんなにオレのことを思っててくれて……」

「やめて、そんなこと言わないで!」

もう自分が何を言っているのかわからない。

「お願いだから……私を残して死なないで……」

孤は重そうに手を持ち上げた。私の頭をなでる。

「それはできないな、冴……でも冴、許してくれ……。オレは、孤独の孤と書いてともって読む名前の通り、友達が今までいなかった、ましてや大切な人なんていなかった……」

だから。

「自分勝手だけど冴だけは失いたくないんだ……よ……」

私の頭をなでていた手が、ぱたりと床に落ちた。

ゼイゼイという荒い息。

「孤…孤っ……!」

私はその手をしっかりと握りしめた。

孤はそんな私を見て、小さく微笑んだ後、静かに目を閉じた。


――じゃあな、冴。生きてくれよ。


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