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掌編置き場

掌編【合理主義】

作者: 冬木香
掲載日:2026/04/21

 僕には足の速い友人がいた。

 陸上部でインターハイにも出場する実力のある陸上選手だ。

 そんな彼がある日突然大怪我をして病院に運ばれた。

 彼の病室に見舞いに行くと、彼は両親と大喧嘩をしていた。

 どうやら彼は義足になることを望んでいるらしい。

 彼の両親はそれを止めている。

 どうして止める必要があるのだろうか。

 僕は大怪我をしても夢を追いかける友人を応援したいと思った。


 彼の両親が帰った頃を見計らってから僕は再び彼の病室へ向かった。

 彼は笑顔で僕を迎えてくれた。

 足を怪我した陸上選手とは思えないほどいつも通りだった。

 そこで聞きづらいことではあったが、さっきの彼の両親との会話について尋ねてみることにした。


「どうして両親は義足に反対するんだい?」


 彼の両親は彼が陸上に打ち込むことを常に応援してきた人たちだった。

 だから反対していることが不思議でならなかった。

 そんな僕の質問を聞いて彼は笑って答えた。


「両親は僕にオリンピックに出てほしいみたいなんだ」


 僕には彼の言っていることが、僕の問いの答えになっているのかどうかわからなかった。

 僕が考え込んでいると彼は続けた。


「俺はパラリンピックに出たいからわざわざ足を潰したんだ」


 当たり前のようにそんなことを言う。


「自分で足を潰した?」


 僕は恐る恐る彼の言葉を繰り返す。


「ああ、そうだよ。カーボンにスプリング、オリンピックの世界記録はパラリンピックよりも0.8秒も遅いんだぞ? 俺は下位リーグに興味はないんだ」


 彼は満面の笑みでそう言った。

 動かない足をベッドに放り出したまま、ただ夢を見続けていた。

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