泥に咲く白花と、黄金の晩餐
まばゆいシャンデリアの雫。
芳醇な花の香りと、耳を刺すような熱狂的な拍手。
視界を埋め尽くすのは、王国最高峰の晩餐会。
煌びやかなドレスの裾を揺らし、私は進む。
かつて「みすぼらしい」と私を蔑んだ者たちは、もういない。
誰もが歌うように私を讃え、敬意を込めて道を開いていく。
玉座に座す国王が立ち上がり、私に向かって深く、深く頭を垂れた。
「……行こう、アリア! 今夜は、英雄になったあなたのための舞台だもの!」
共に死線を越えてきた仲間が、私の手を握る。
その温かさが、かつて孤独だった心を掬い上げてくれた。
孤独の底に膝を突き、希望の未来を諦めていた少女は、もうどこにもいない。
泥を払い、涙を拭い、私は世界の運命を塗り替えてきたのだから。
けれど。
もしあの日、運命が私を見捨てていたなら。
もし――あの「冷徹な魔法人形」に、私が選ばれていなかったなら。
私は今も、名もなき貧乏少女として、世界の端、孤独の底にいたはずだ。
これは、なにも持たなかった少女が、一体の魔法人形と出会い、煌めく未来を掴み取るまでの物語。
運命の歯車が動き出したのは、そう――すべてはあの日の「出会い」からだった。




