表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味な田舎娘パルが、王家の秘技クルクル回転魔法で国を救う。  作者: 宮本海人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/14

第9話 戦車エレファス

深い森の中、それは静かに眠っていた。

戦車エレファス、それが彼の名前。

四角い鉄の箱に車輪を付けただけの名ばかりの戦車。


そんな彼に、美しい王女様がその名を付けてくれたのだ。

あの象よりも大きく強くあれと。

我と共に戦えと。



王女が永遠の眠りについた日、彼の魂も消えてしまった。

鉄の塊の彼に魂などある筈がない、、のだが。

彼は知っていた。

自分が何の為に生まれたのかを。

王女と共に戦いの先陣を務めるのが、

どれだけ誇らしく幸せだったのかを。


あの戦いの後、戦車エレファスは海岸にうち捨てられていた。

石を投げつける者もいた。

王女を守れなかった無用の鉄くず。

ただでかいだけのガラクタ。



世の中が共和国に変わる日の前夜、

そのガラクタは忽然と消えていた。

誰もあの巨大な物体を動かすことなど、

できる筈がないのに。


その夜、錆びた鉄が、軋むように擦れる音を多くの者聞いたという。

まるで、巨象が泣いているようだったと言う人もいた。



そろから、長い年月が過ぎた。


森の中で眠るガラクタには苔がむしツタが絡まり、

いつしか森の風景の一部と化していた。



彼はふと懐かしい波動を感じ、目を覚ました。

「俺何してるんだ。行かなければ。」


戦車エレファス、その錆びた巨体は15年の時を経て静かに動き出した。


錆びついた鉄が、ギシギシと軋むような轟音を立てた。


それは愛する王女と戦いに臨んだ、

誇り高きあの巨象の雄叫びに戻っていたのだった。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ