第21話 再会
バーリは、今日も港の岩場に来ていた。
「おお、これは大きいぞ。」
バーリは、あれからずっと粉々になったエレファスの破片をせっせと拾い集めているのだ。
そして、それを借りている古い農家の納屋に運び込み丁寧に水洗いしている。
港の者や船乗り達もバーリに協力してくれている。
船の通航や港湾業務の障害になるので、港の漂流物の撤去は港にとっても必要な作業なのだ。
それにエレファスは、最南端の町の人々にとって大切な命の恩人。
誰もが、あの風変わりな老人が何か記念碑でも作るのだろうと思い、喜んで協力していた。
「だいぶ集まって来たぞ。
そろそろ作業に入るかの。
ふふふふふ、待っておれ、エレファス。
俺をうまく出し抜いたつもりだろうが、エレファス、お前甘いぞ。
わしを見誤っておる。
お前だけを、みすみす先に行かせる訳にはいかんのだ。
これで引退し、王女様のもとで世界旅行でも出来ると思っていたら大間違いじゃ。
まだまだお前も働くのだ。
次の世界に行く時は、わしも一緒じゃ。」
バーリは妖しい笑みを浮かべた。
その顔は、かつて奇跡の魔法科学者と称えられた頃に戻っていたのだった。
その日、パルは砂浜に来ていた。
海の上にはぶ厚い雲がかかっている。
パルは心を静め雲を見つめる。
目だけでなく、心、魂で見るのだ。
すると、パルには雲を構成する無数の小さな水滴が見えてくる。
そしてパルはその水滴一つ一つに魔法をかけるのだ。
気が遠くなるような作業だが、パルには出来る確信があった。
何故なら、それを実際にやって、国を、国民を救った人がいるのだから。
「ふう、王女様、こんなとんでもないことを現実にやっていたなんて。もう、頭がパンクしそう。」
パルは、頭を冷やそうと海岸を裸足で歩いていく。
最南端の海は冬でもさほど冷たくはない。
「ひゃあ、ちょっと冷たくて気持ちいい。」
ふとパルは足を止めた。
砂浜にかすかに光る何かを見つけたのだ。
それは、、あの水晶玉だった。
何故か全く傷つくことなく、砂浜に流れ着いていた。
「、、お帰りなさい。エレファス。」
パルはそれを優しく拾い、軽くキスをして鞄に大事にしまった。
パルは探し続けた大切なものをついに発見したかのように、最高の笑顔で走り出した。
パルとエレファスの再会を祝福するかのように、無数のカモメの声が交差していたのだった。




