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地味な田舎娘パルが、王家の秘技クルクル回転魔法で国を救う。  作者: 宮本海人


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第13話 降伏勧告

それは、静かな秋の朝だった。

いつも通り、シルの焼き立てのパンの香りが漂っている。


「パル、それでどうなんだい。あのテオって子。」

「テオくん、だいぶ馴染んてきたよ。

私よりチルちゃんと仲いいかも。

チルちゃん、テオくんやさしいって言ってるよ。」

「ほう、それでパルは。」

「うーん。よくわかんないや。」

「なんだい、そりゃ。」

「ふふふっ。」

「あんた、何笑ってるんだい。

男の子ってだけで、いらぬ心配してたくせに。」



カンカンカンカン〜


最南端の町に港の鐘の音が鳴り響いた。

緊急事態発生の合図だ。


「お母さん、鐘が鳴ってる。なんだろう。」

「あれ、緊急招集の鐘だね。何があったのかしら。」

「とにかく、港に行ってみるしかないな。」



パルと父母は、朝食をそのままにして急いで港に向かった。

港の広場には既にたくさんの人が集まっている。

港の人の顔には笑顔はなく、いつになくこわばっていた。


港の長老ニコが口を開いた。

「みんな、聞いてくれ。」


「朝から集まってもらってすまない。

緊急事態発生の連絡だ。

今日朝、行方が分からなかった漁師のリノが帰ってきた。

それは嬉しいことなのだが。


リノは何と、今日までずっと北の蛮族に捕まっていたのだ。

今日解放され、彼らからの要求を預かってきた。


奴らの要求の内容は、簡単に言うと降伏の勧告だ。

港とこの町を無傷で渡せと言っている。


奴らは明日朝、大船団でこの港に攻め込んでくる。

リノの話からすると、数百の大船団だと。

数百の船に数千の兵士が乗り込んでいるだろう。



抵抗すれば、皆殺しだと。

抵抗せず、平和に奴らを受け入れれば奴らの帝国民にしてやる。おとなしく帝国民の端くれになりたければ、港に白い旗を掲げておけだと。


明日朝までに逃げてもかまわない。

たたし、町や港はそのまま無傷で置いておけ。

そうすれば追手をすぐには出さん。

逃げる十分な時間は与えると。


とにかく猶予は明日朝までだ。


この町には、共和国の軍隊は一人もおらん。

戦う武器も無い。


全くいまいましいが、最新の武器を携えた数千の軍隊にクワや斧では勝ち目はない。

残念だが、すぐに逃げるしかあるまい。

何か質問や意見があれば、自由に発言してくれ。」


「共和国の軍隊には応援を要請したんですか。」

「もう、馬を飛ばしておる。ただ一番近い駐屯地でも二日はかかる。

それから、軍隊を準備してこちらに向かっても到底間に合わん。」


「奴らは船は持っていなかった筈では?」

「リノがみたところ、東の海の国の船らしい。

北の蛮族が、東の海の国を支配下に置いたのは間違いないだろう。」


「奴らが船を手に入れたことを、都の政治家達は知っているんですか。」

「知っていたなら、南の海岸線に少しは気を配っていただろう。政治家連中、予想はしてたかも知れんが、まだまだ先のことと甘くみていたのかも知れん。」


「俺はあの戦いの生き残りだ。

むざむざこの町を奴らに渡すくらいなら、戦って死にたい。」

「マルコ、抵抗したら、北の蛮族どもは逃げる者達を追いかけて襲うだろう。気持ちは分かるがここは堪えてくれ。」

「あんな奴らの言うことを信じるんですか。

もし奴らの話が謀略だったら、みすみす町を無傷で明渡した上にみんな追撃されて皆殺しだ。」

「分かっておる。

しかし他に選択肢はないのだ。

戦っても勝てる見込みは皆無。

白旗を上げても、鎖に繋がれ奴らの奴隷になるだけだ。

今できることは、出来るだけ遠くに逃げて共和国軍の到着を期待することだけだ。」



「とりあえず馬車を集める。

港には使える馬車は1台、馬も2頭しかない。

馬車や馬を持っている者は、悪いが提供してくれ。

子供や老人、妊娠している女性を優先して馬車にのせる。

乳児や小さな子供は母親も一緒だ。

馬車の準備ができ次第、家を回って乗せていく。


他の者は歩いて逃げるしかあるまい。

荷物は最小限にな。

明るいうちに、隣村まで行ければいいのだが。

さあ、それぞれ準備に入ってくれ。」



一人の男がつぶやいた。

「何か音がする。」


バォーン、バォーン〜


その音は次第に大きくなってきた。


バオーン、バオーン、バオーン!


マルコがつぶやいた。


「エレファス、、、エレファスだ。

間違いない。忘れるはずがない。

あの勇者エレファスが帰ってきた。」














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