表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地味な田舎娘パルが、王家の秘技クルクル回転魔法で国を救う。  作者: 宮本海人


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/14

第11話 パオーン

パオーン〜パオーン、、、。


「おやおや、エレファス。

でっかい図体して何を泣いておる。」


老科学者バーリは南に向かう街道で、山の方向から悲しげな泣き声を聞いたのだった。

「ここから先の山は、南に向かう街道最大の難所。

さては登り道で動けなくなったかの。」


しばらく進むと、戦車エレファスが立ち往生していた。

車輪を回そうと頑張っているが、うんともすんとも言わず全く進まない。


「無理もないわ。

魔力の補充も無く、よく一人でここまで来たものよ。

どれどれ、見せてみい。」


見たところ、大きな破損箇所は見当たらない。


「まあ、燃料切れといったところか。」


バーリは、戦車の上に登り魔力計を確認した。

「おやまあ、空っぽか。」

パオーン〜

エレファスは力無く泣いていた。


「困ったのう。魔力になるものはないか。

うむ、仕方あるまい。あれを使わせて頂くか。」

バーリは、懐から大事そうに何かを取り出した。

「王女様から直々に頂いた宝石。

王女様も、以前は気に入って身につけていたこともあったと聞く。

まあ、もともとはお前を作った礼にと頂いたもの。お前に返すのが道理じゃ。

何より信頼するエレファスの為とあれば、王女様も笑って許してくれるだろう。」


バーリは何やら機械をいじると、備え付けてある小さな箱に宝石を入れて丁寧に蓋をしめた。

「さて、首尾はどうかの。

エレファス、どうじゃ元気は出たか。」


魔力計の針はぐんぐんと進み、あっと言う間に満タンになった。


「バオーン!」


「よしよし、これで南まで行くには十分過ぎるわ。

この山を越えれば、後は緩やかな下り坂。

南の海まで、もう3日もあればつくじゃろ。」


「さて、次の村で馬を売って、荷車はお前さんに引いてもらうとするか。

しかし、お前と旅をするのも久しぶりじゃな。

王女様にお前をお届けして以来か。

お前を見た役人どもが、こんな汚い鉄の箱に王女様をお乗せする訳にはいかん、帰れ、とか言っておったな。」


「しかし、王女様はお前を一目見て、

素晴らしい、気に入った、と。

くっ、あの、役人どものあっけにとられたアホ面、

今でも忘れられんなあ。

あれから、お前に名前を付けてくれて、楽しかったのう。」


「おっと、昔話をしとる場合じゃなかった。

エレファス、お前、南に何か大事な用事があるのだろう。

分かっている。分かってる。

さあ、出発じゃ。」


〜バオーン〜バオーン。

勇猛な巨象の咆哮が、遠く山々にこだましていた。















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ