表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/12

第10話 ある魔法科学者の願い

老人は南に向かう街道を南に向かって馬車を走らせていた。

幌で覆われた荷台には、大小さまざまなガラクタが積み込まれている。



「まさか、お前がまた動き出したとはな。」


老人の名はバーリ。あの戦車エレファスを作った男だ。

かつては、魔法の力を最大化することが出来る奇跡の科学者として名を馳せ、宮廷からの信頼も厚かった。

しかし、王女の死後生まれた共和国では、魔法は夢幻の如く隅に追いやられ、彼の名も遠い昔話でしか聞かないようになっていた。


「戦車エレファス、どこにいたのだ。

ずっと探しておったが、まだ動く力が残っていたとはな。

王女様の魔力の残滓かそれとも。

王女様への想いか。

わからん。

まあわしも、こいつ鉄の塊、機械のくせに、もしかして意思があるのかと思ったことがあったな。

王女様と一緒に出陣する時は、本物の巨大な象のような咆哮が地の果てまで響いたものじゃ。

あれだけで、大抵の敵は蜘の子を散らすように逃げていったわい。」


「とにかく、15年の歳月、あちこちガタが来ているだろう。さぞや、寂しかった、悲しかったことだろう。

かわいそうに、錆びを落として油も差してやらねば。

な。」



あの戦車エレファスか動き出したことは、既に人々の噂になっていた。

目撃情報は、南に向かう街道に集中している。



「エレファス、お前何故南へ向かう?

南に何があるというのか。

王女様は最南端の地を、この上なく愛していたと聞く。

エレファス、わしを置いていかんでくれ。

いつか、天国でお前と一緒に王女様にお仕えするその時まで、どうか一緒に戦わせてくれ。

老いぼれの最後の願いじゃ。」












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ