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第1話 落城

「もうすぐ城に火を放つ。

我が姫パールをそなた達に託す。すぐに地下道からパールを連れて城を脱出するのだ。」


「王女様。一緒にお逃げください。」

「我は逃げぬ。王も戦死した。

我はこれより戦車エレファスに乗って出撃する。北の蛮族どもに我が回転魔法で鉄槌を下してやるのだ。」

「そんな。王女様自ら出撃を?」

「ここで敵に壊滅的損害を与えるには、我が行くしかあるまい。そうせねば、国の全てを侵略されてしまう。敵の戦力を大幅に削り時間を稼ぎ、再編した第二防衛線で奴らを押し返すのだ。」


「時間が無い。いずれにしても我が一緒ではとても逃げきれぬ。とにかく南に逃げよ。最南端の町で我が子パールを二人の娘として育てるのだ。


回転魔法が発動したら、その力を限りなく伸ばしてくれ。それがいずれパール自身と国を救うことになるだろう。

16になるまで、粗野で粗末な身なりの普通の田舎娘として育てよ。くれぐれも甘やかしてはいかん。徹底して厳しく育てよ。


周囲には絶対に姫と悟られてはならんぞ。


16になったら、国の特使が迎えに行く。

特使は王家の血筋だけに現れる、あるあざを知っている。


ハンス、お前は寡黙だが正直者の庭師だと聞く。そして妻シルは心優しく料理が抜群に上手だと。シル、パールに美味しい料理をいっぱい食べさせてやってくれ。」


王女はパール姫を抱き上げると、頬にキスをし二人に姫を託したのだった。


「我が娘パール。永遠の幸せと栄光を祈っている。さあ行くのだ。」


パール姫を抱いて、二人は壁の穴から地下道に向かった。


暗く長い地下道を通って外に出ると、見覚えのある初老の御者が乗る、一両の古びた馬車が待っていた。


こうして、二人とパール姫は燃え上がる城を逃れて、はるか最南端の田舎町に向かったのだった。







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