トランプ前大統領が132年ぶりの返り咲き! 日本は言いなりではなく“駆け引き”できるのか!?
筆者:
本日は当エッセイを選んでいただきありがとうございます。
今回は2024年アメリカ大統領選挙の結果を振り返り、
トランプ氏が再び大統領に就任した後の日本への影響についても個人的な分析を発表していこうと思います。
◇意外な「即日決着」
質問者:
結果判明まで「数日かかるかもしれない」とまで言われていましたが、
実にアッサリと決まってしまいましたね……。
「激戦州」と言われていたところまでことごとくトランプさんに有利に動いてしまうだなんてかなり意外でした……。
それどころか全米得票数でも3%ほどトランプさんが勝ちそうですし、
2016年よりは選挙人票は減らしそうですけど「完勝」に近い形になりましたね。
上院も共和党が過半数を超えるのが確定しましたし、下院も順調に伸ばしているようなので、自在に政策をトランプさんは実行できそうですね。
筆者:
まず「激戦7州」の中でトランプ氏勝利が早々に決まったノースカロライナ州ではハリケーンの影響を共和党支持層の地域に打撃を受けました。
そこで、投票率が低いと思われていたのですが、いつもよりむしろ高かったそうです。
共和党地盤のアイオア州でハリス氏リードと開票直前に言われていたのですが、開票50%でトランプ氏側に当確が出て、14%リードと全く結果は違いました。
質問者:
保守の方はあまりメディアの世論調査に答えないという話がありますけど、
そういう事が左右したんですかね……。
筆者:
そうでしょうね。
前回大激戦になったペンシルベニア州やジョージア州では極小差の「再集計嵐」で決着に数日かかるものと思われたのですが、まさかの即日に確定してしまいましたね。
こんなにも「激戦州」ですら差が出てしまったのは、
ハリス氏は自ら政権の主要なポジションの副大統領でいながら、
「公約」として掲げていることに対して何もしていなかったことも多かったんですね。
そうなるとただ単に「国民ウケしそうな政策を推進していた」ようにしか見えなかったのだろうと思われます。
質問者:
空手形に見えてしまったわけですか……。
筆者:
トランプ氏は一応は2016年からの4年間は好景気でしたし、不法移民問題もかなり解消しつつあった実績がモノを言ったのだと思います。
ただ、トランプ氏も様々な法廷での問題を抱えており、
大統領に就任したら直ちに「自分自身に恩赦・免責」をすることによって、
「自らを自由」にする可能性が高いです。
(後日の海外の記事では“慣習”によって大統領に対する司法的活動が停止されるとしていますが、トランプ氏の“お仲間“に対する恩赦・免責を行う可能性はありますし、任期満了寸前に自身に行う可能性もあります)
いちいち、法廷に出ていくだけで政治がストップしたら面倒過ぎますからね。
質問者:
しかし、「自分自身に免責」を与えそうな方が大統領になるっていったいどうなってるんですか……。
筆者:
結局のところ選挙はどこの国のどのポジションであろうと「消去法的選択」になってしまうんですね。
アメリカ大統領選挙ともなればかかっている金額が違い過ぎるために、
民主党と共和党のそれぞれの候補者になる時点で振り落とされてしまうのです。
現在の民主主義と言うのは「最悪を回避する政治制度」と言うだけで、
残念ながら最良の制度とは言えないんですね。
公正公平なAIや電子投票の信頼性の向上、お金のかからない選挙などにしなくては適切な人間は当選しないでしょうね。
◇「アメリカ・ファースト」の日本への余波
質問者:
トランプさんが就任したら具体的に日本にどういう影響が出るんでしょうか?
筆者:
日本には結構トランプ氏を支持している方が多いような印象を勝手ながら受けています。
しかし、トランプ氏が大統領に返り咲いたからといってアメリカにとってはプラスの政策であったとしても、それが日本にとってプラスであるとは限りません。
そのことからどちらが勝っても「日本の対応」が重要だと僕は当初から感じていました。
そしてトランプ氏が大統領に再任される場合の方が「より難しい」とすら思っていました。
質問者:
まずは経済政策はどんな感じになるんでしょうか?
筆者:
2016年からの政権では関税を上げるなどの制裁をちらつかせ、自由貿易から管理貿易への転換を図りました。
具体的には環太平洋パートナーシップ協定(TPP)からの脱退から始まり、北米自由貿易協定(NAFTA)と米韓自由貿易協定(KORUS FTA)の見直し協議をすることでアメリカに有利な条件で条約を締結していきました。
その上で今回は中国に対しては対応次第では非常に厳しい関税政策を課すことを既に宣言しており、中国に対する関税引き上げでモノがアジアに逆流することが考えられます。
日本に対しても中国ほど強い政策では無いものの例外ではなく、税率次第では輸出の18兆円の約25%を占める車産業の工場はアメリカへ流出の可能性が出てきます。
日本に直接課税されなくとも、カナダやメキシコの日本会社の車工場からもアメリカに輸出しているので業績悪化の可能性があります。
こうなると雇用の喪失やさらなる円安への加速が懸念されます。
トランプ氏に決まりそうだとなった時点で2円ほど円安になりましたしね。
質問者:
更に減税を掲げているとなると、さらにアメリカの景気が過熱するのでしょうか……。
筆者:
その可能性もあります。
また、トランプ氏は米国の比較優位は化石燃料だと認識しているために、規制緩和し、石油・天然ガスの掘削をどんどん進めると宣言しています。
日本としては世界でもトップクラスの二酸化炭素排出をカットする効率のいい火力発電所を売りつけるチャンスとも取れます。
(世界からは“化石賞”と言われるが、効率も考えて欲しいと思います)
◇日本の負担増への懸念
質問者:
何とかうまい具合にやって欲しいところですけど……。
そして、注目は外交政策・防衛政策で日本への影響だと思うのですが……それについてはどうなんでしょうか?
筆者:
トランプ氏は政治家と言う要素だけでなくビジネスマンとしての「取引」の性格も強く有しています。
これは経済だけにとどまらず防衛に関しても言えると思います。
「ウクライナを支援するくらいなら、そのカネを米国で使うべきだ」とバンス副大統領候補ともども力説しています。
台湾についての言及は少ないですが、中国への経済制裁以外でアメリカが無償で台湾を守るようなことは想定しにくいです。
そうなると、「台湾や日本を守ることがプラスになる要素」を提示しなければ日本から米軍は味気なく去ってしまう事でしょうね。
これまでの言動からすると日本を防衛する引き換えとしては、
「アメリカ軍基地負担金を増やせ」や防衛費を「GDP比3%(ほとんどが米国製の兵器購入)」などを要求してくると思います。
僕は、お金は払う事は仕方ないにしても、尖閣諸島に基地を作って一緒に駐留することを取引条件として設定することが最善かなと思っていますね――日本政府がそこまでやってくれるかは知りませんけど(笑)。
質問者:
台湾有事も尖閣諸島を取らなければ結構難しくなるという話みたいですからね……。
何とかその生命線を守りたいですよね……。
筆者:
防衛費が1%から2%を飛び越えて3%になると、防衛増税の額が「2倍」になってしまう事が懸念されますね。
また、ロシアとウクライナについては早期に終結させることを示唆しています。
現状では占領地域にほとんど変更がないロシア有利の状況ですから、
国境を現在の状況で大体確定させて、
その復興資金の大部分を日本に出させる可能性が高いと思っています。
最悪は日本で「ウクライナ復興増税」などもあり得るんじゃないかと思いますね。
◇これでも「最悪のシナリオ」は回避している
質問者:
何か日本に負担を求めそうなことばかりが起きる感じなんですね……。
こんな大変な状況ですと、ハリスさんが大統領になった方が良かったんでしょうか……?
筆者:
いえ、トランプ氏が法廷闘争や分断を煽ったりすることによってアメリカが半ば「内乱」に近い状況になる可能性もありました。
そうなると、中国やロシアは今以上に好き勝手に暴走したと思うので、世界情勢は悪化したと思います。
圧倒的にハリス氏が勝つパターン以外ではどのみち世界は厳しい状況になったと思いますね。
ただ、ハリス氏が快勝してもバイデン氏の路線を継承しつつも経済政策や不法移民問題に関しては疑問符が付いたので、
アメリカが一気に弱体化した可能性はあります。
そのために、日本にマイナスの影響が出た可能性も高いですけどね。
質問者:
実はこれでも「最悪のシナリオ」は回避できたという事なんですか……。
筆者:
僕は少なくともそう見ています。
安倍元首相を基本的には評価できませんが、当選早期に面会するなど「トランプ氏の操縦」に関しては比較的上手にやっていたと言えるでしょう。
対トランプ氏で必要な対応は「駆け引き」だと思います。
「相互ファースト」「全世界視点での最善」を目指して交渉をしていくことが大事だと思います。
全て言うとおりに鵜呑みにしてしまえば恐らく日本は増税ラッシュのボロボロになるんじゃないかと思います。
質問者:
それだけは何とか回避したいですね……。
ただ、石破さんって衆議院選挙でコロコロと公約を変えていったようにちょっと信頼性が無いので心配になりますね……。
筆者:
増税回避のためには日頃から選挙以外でも日本国民が声を上げていくことが大事だと思っています。
僕がどれぐらい役に立つかは分かりませんが、少なくともやれるだけのことはやって発信・提言もしていこうと思います。
という事でここまでご覧いただきありがとうございました。
今回はアメリカ大統領選挙が早期に決着がついた件と、今後のアメリカからの半ば強制的な「日本増税政策の展望」について考え、それを防止するためには国民が声を上げていくことが大事だという事をお伝えしました。
今後もこのような日本に影響しそうな国際政治について個人的な解説をしていきますのでどうぞご覧ください。