こたつのおんなのこ
「私には妹がいたのよ。あれは私が小学校二年生だった頃かしら。寒い日でね、二人でおるすばんしていたの。家の中の暖房器具といえば、小さな小さなこたつでね。一人が足をのばせばもういっぱいになっちゃうくらいの。だからいつも私と妹でこたつの奪い合いしてたのよ。…あの時ほど妹の存在を疎ましく思ったことはないわ。あら。姉妹仲良くって、そんなの子供だもの。邪魔なものは邪魔なだけ。……妹が悪いのよ?あの時こたつに入った私の足を噛んだりするから。気付いたら私の手は妹の首を絞めてた。なんてことしちゃったのかしら。いもうとがうごかなくなっちゃった!だけど、寒かったから、動かなくなった妹の傍らで、私、こたつ占領して買ってもらったばかりの少女まんがなんて読んで、おもしろくてくすくす笑ってたの。…しばらくして、マンガ読み終わってね、うごかなくなった妹見て、寒いんじゃないかってこたつの中にいれてあげたの。子供のきまぐれね。頭から爪の先までこたつの中にすっぽり入っちゃって。あったかい、ありがとうお姉ちゃん。なんて妹が言った気がした。私、そのときはいいお姉ちゃん。妹だって素直なかわいい妹。仲良しでしょ?…え、違う?…そうかなぁ?…妹がこたつからでてこないものだから両親は妹がどこにいったのか、必死で探してたわ。私はわかってたけど、かくれんぼの告げ口するのはルール違反でしょう?……寒い季節が過ぎて、こたつを片付けることになったの。…妹?あぁ。あの子ったらよっぽどこたつが気に入ったのかほんとにでてきやしない。一緒に片付けられたんじゃないかしらね。…何、私変なこといってる?…こたつ?今、入ってるじゃない。ねぇ、抱き合ってれば大人二人でも入れるものね。小さな一人用のこたつだけど。妹ともこうやって入れば……きゃ、なによ。………え?足、舐められた?…ふふ、何青い顔してるのよ、かわいい私の妹よ。いったでしょう?妹はこたつの中が大好きなの。……布団めくって?………ほら、いた。ふふっ『ミケちゃん、姉妹仲良くしましょうね』」
END
おつかれさまでした