キャッシュコーナー
僕は五千円ばかりをおろしてパチンコに行きたいのだ。なのに先客がいた。
何だこのオバハンは。オバハンは何やら大量の通帳を持っている。
カードだけでええやろ!僕は夏の暑さもあってイライラする。オバハンはやっとカードを取り出したかと思うと、金を引き出した。出てきた金はざっと三十万程。僕の預金額の十倍はある。
まぁ、いい。早くその金を持って立ち去るがいい。僕はカードを握りしめて前進しかける。しかし何故だ。オバハンは退こうとしない。不審に思い僕はオバハンの手元を覗き込んだ。
は?通帳?
オバハンはさっき引き出したばかりの金から五万程抜き取ると、その通帳に振り込んだ。
その作業を僕は呆然と眺める。オバハンは大量の通帳にそうやって小分けしながら振り込んでいく。ついに僕はキレた。オバハンの肩を掴みふざけるな、と怒鳴りつけた。オバハンは目を見開き、固まったかと思うと突如、たすけてだれか!と叫びだした。
たすけて、強姦よ!
誰が貴様なんぞ襲うかい!クソババァ!
不愉快にも程がある。僕は辺りを見渡して誰もいないことを確認した。そして、叫ぶオバハンを殴りつけた。ぐったりとして倒れ込んだオバハンのバックから十万ばかり奪い取り、僕はパチンコへ向かう。
と、夏の暑さもあって妄想が膨らんだ僕が我に返ると、僕の前にいたオバハンはすでに消えていた。
僕は五千円ばかりを引き出して、やはりパチンコに向かった。
完