表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
へのへの森田  作者: 風翠ヒバリ
へのへの森田の胸の内
7/7

へのへの森田の胸の内3

森田M「何気ない一言だったのは分かってるんだ。それでも、花楓が「見てみたかった」って、もう見れないんだって諦めたような言い方をしたのが、本当に、ただ本当に、悔しかった。同時に、なぜ村瀬といると色々考えてしまうのか、分かった気がする。村瀬は最初から諦めたりしないんだね。どうせ無理だからとか、このぐらいで良いだろうとか、そんな風に始める前に諦めたりしないんだ。僕はずっと諦めてしまっていた。花楓と高校に行けなかったのも、映画館に行けなかったのも、誰も僕に恋愛関係の話題を持ち掛けないのも、全部仕方がないと思ってた。望む事すらしなかった。そんな僕が、花楓が諦めた事を悔しいと思った。本当に、ただ本当に、悔しいと思ったんだ。ねえ、花楓。僕は学校という空間を見てもらいたくてこの作品を作る事を決めたけど、違ったよ。今、本当に君に見せたいのは、僕が関わっている、この人達の方だ」



8、学校・教室(昼休み)

   昼ご飯を食べている。

由希「そういえば最近へのへのもへじ描いてないね」

森田「だいぶ描けたから」

村瀬「あれ、目的があって描いてたのか?」

森田「作品展に出品する作品の題材にしようと思ってるんだ」

村瀬「悪い、ただの落書きだと思ってた」

由希「どんな作品になりそうなの?」

森田「学校を表現したいんだ。石こうっぽくしたいから石こう粘土で作ろうかと思っているんだけど、サイズ感に迷ってて――」

村瀬「まてまて、分からねえ」

森田「え? あ、ごめんね」

由希「良い作品になりそうなんだね」

森田「どうなんだろう? 僕はいつも見せたい物を作ってるだけだから」

村瀬「見せたい物? 作りたい物じゃなくてか?」

杏里「そういえば、前に言ってた人を描こうと思うとへのへのもへじなるっていうのは、どういう意味だったの?」

森田「ああ、それね。うーん、やっぱり説明し難いんだけど、人は同じパーツで出来てるじゃない? 同じ素材で構成されてて、みんな同じなんだ」

杏里「同じ顔に見える、的な?」

森田「いや、そうなんだけど、そうじゃなくて……。なんて言うんだろう? ちょっとの差しかないんだよ。それを上手く表現できなくてへのへのもへじにするしかなかったと言うか……。ごめんね、やっぱりまだ上手く言えないや」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ