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へのへの森田  作者: 風翠ヒバリ
へのへの森田の胸の内
6/7

へのへの森田の胸の内2

5、学校・美術室(放課後)

   森田、美術室に戻ってくる。

   瑠花、キャンパスに向かい続けている。

村瀬「麻見は、彼氏とかいないのか?」

瑠花「いないね」

森田「何の話ししてたの?」

瑠花「彼氏がいるか聞かれた」

森田「ああ。村瀬は付き合いたてで、彼女にどう接したらいいか分からないみたいなんだ」

   森田、席につく。

瑠花「ふーん。とりあえず、デートでも誘えば良いんじゃない?」

村瀬「どこに行けば良いんだ?」

瑠花「知らないよ。映画とか行っておけば良いんじゃないの?」

村瀬「映画、か。趣味が分からないんだよなぁ」

瑠花「別に行ってから何観るか決めれば良いじゃん」

村瀬「女子ってそれで良いのか?」

瑠花「逆に男子ってそれじゃダメなわけ?」

森田「ふふふ。僕も麻見に賛成」

村瀬「マジかよ……。分かった。ちょっと考える。じゃあ、俺は帰るわ」

森田「うん。気を付けてね」

   村瀬、美術室を出る。

瑠花「部員でもないのに、いつの間にか居ついたね」

森田「だね。でも楽しくていいじゃない。なんか、村瀬といると、色々考えるんだ。村瀬ってクールに見えてけっこう一生懸命だよね」

瑠花「森田、あいつに花楓の話、した?」

森田「彼女がいるとは言ったかな?」

瑠花「気になってるらしい」

森田「教えてあげた?」

瑠花「まさか」

森田「そっか」

瑠花「花楓は、最近どう?」

森田「良くはないみたいかな?」

瑠花「そっか」



6、病室

   森田、ノックをして引き戸を開ける。

花楓「平次くん」

森田「調子どう?」

花楓「今日は、まあまあ。平次くんは? 面白い事あった?」

   森田、椅子を引き寄せて座る。

森田「それがね、人の告白現場に居合わせちゃった」

花楓「え、えっ、それ、どうなったの?」

森田「付き合う事になったみたいだよ。なんか、互いにまだ好きって感じじゃないみたいたけど……。でも、良い感じみたい、かな?」

花楓「そうなんだ! やっぱり、高校生って大人っぽい? アルバイトとかして、皆働いてるんでしょ?」

森田「僕、大人っぽい?」

花楓「平次くんは……、変わらない」

森田「そんなもんだよ」

花楓「そっか。すぐに変わったりしないよね。学校は広い?」

森田「そうだね、広いよ。教室の数も多いし、野球部の専用グラウンドがあるんだ。美術室も広くて、黒板が上下に動くスライド式なんだよ」

花楓「ええ、見てみたかったなぁ」

森田「文化祭、呼ぶよ」

花楓「うん! 楽しみだなぁ」

森田「えっと、花楓さん」

花楓「何でしょう、平次くん」

森田「ぎゅっとしてもいいですか?」

花楓「昨日、髪を洗ってもらったから、良い匂いがしますよ」



7、学校・美術室(放課後)

   森田、鉛筆でスケッチを描いている。

瑠花「森田、なんかあった?」

森田「ないよ?」

   美術室の戸が開き、村瀬が入って来る。

瑠花「映画はどうだった?」

村瀬「ああ。まあ、楽しかったかな」

瑠花「ふーん」

森田「映画、いいよね。僕も行ってみたくなっちゃったよ」

   森田、手を止めずににこにこ笑う。

村瀬「森田も彼女と行けば良いんじゃないか?」

   一瞬、間が開く。鉛筆の音だけが響く。

村瀬「な、なに……?」

森田「僕の彼女、ずっと入院してるんだぁ。次の外出の時いけるか聞いてみようかな?」

瑠花「……あんた、今日は集中したいから帰って」

村瀬「あ、ああ。邪魔して悪かったな」

森田「気を付けてね」

村瀬「ああ」

   森田、鉛筆を動かし続ける。

   村瀬、美術室を出る。

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