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第22話 帝国との交渉

「でかしたわアバドン! これで当面の資金繰りには困らないわね。スケルトンナイトとか作っちゃおうかしら!」


 そう言って、金貨のプールに飛び込んではしゃぐリシュエル。


「これだけあれば、レイエン帝国との交渉も有利に進められるでしょうnね」

「交渉? 次の標的ではないのか」

 

 ジュウラス王国からは地理的にレイエン帝国が近い。

 てっきりアバドンはこのままの勢いで呑み込むものと考えていた。


「帝国とは一時手を組んで、エルヴン共和国を徹底的に叩きのめすのが理想ね」


 財宝の中から金色のティアラを見付け、かぶって見せるリシュエル。


「下位アンデッドは基本的に魔法に弱いから。レイエンの兵士を盾と囮にして、あたしらは遊撃に徹した方がいいと思ってね。レイエンも二面戦争は嫌うでしょうから、同盟はまず通ると踏んでるわ」

「成程。策を弄するとは成長したではないか」

「まあね~。でも、まずは帝国との交渉が上手くまとまればの話だけど」


 アクセサリーをとっかえひっかえしては悦に浸るリシュエルだが、急に真面目な表情に引き締めた。


「帝国は腐っても強国だからね。足元を見られないよう、こちらも相応の力を見せなきゃいけない。その時は頼むわよアバドン」

「承知」

「あら、ちょうどいのがあるじゃない」


 黄金に埋もれていた中から、リシュエルが弾んだ声であるものを引っ張り出し、アバドンへと投げ渡した。


「ふむ。これで仮装でもしろと?」

「正解。うん、似合ってるわよ」


 アバドンが首の上に乗せたのは、金色に輝く豪奢な兜であった。




 ────




 魔王ジュウラス、及びジュウラス王国陥落の報せは、瞬く間に魔界中を駆け抜けた。


 相手はアンデッド軍であり、王国では一人の生存者も見込めない、との見方もしっかりと出回っている。


 相手がアンデッドでは交渉の余地すらないと、レイエン帝国は二面戦争を覚悟したが、意外にもアンデッド軍から使節が訪れ、これ幸いと会談の申し出を快諾する事となった。



 そして来たる会談の日。



 レイエン城に現れたのは、ダークエルフの少女と、全身金色の甲冑に身を包んだ騎士だった。


 言うまでもなくリシュエルとアバドンだが、アバドンは兜に合わせて鎧の色を変えていた。

 別人を装うためと、財力を誇示するための二つの理由からだ。


 死霊術の絡む内密の話故、二人は謁見の間を通さずに直接会議室へと案内された。レイエン帝国の繁栄ぶりを示す、豪奢な部屋である。


 さほどの時間を置かず、会議室へ3人の人物と護衛が数人入って来た。


「お待たせした。余がレイエン帝国皇帝、魔王エスデルク。こちらは宰相ダルケン、騎士団長ハルトマンだ」


 皇帝の紹介に合わせ、それぞれ会釈する二人。


「多少の護衛は勘弁して貰いたい。何しろあのジュウラスをくだした英傑と会うのだ。貴公らを疑う訳ではないが、こちらが安心できぬ」

「ええ、お好きにどうぞ。それで会談が成り立つなら、安いものです」

「理解が早くて助かる。では、早速本題に入ろう」


 皇帝のみ着席すると、リシュエルを値踏みするように、真正面から鋭く見据える。

 その瞳は魔王の名に恥じぬ、猛禽を思わせる光を湛えていた。


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