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研究開始!

 小屋の中にはいくつもの小部屋があって、ゴーストが集められていた。近くにはヒトダマの養殖場もあり、餌にも困らない。必要になれば、ヒトダマを進化させてゴーストを作っても良いだろう。


 この小屋をゴースト研究所と名付けた。私の新しい仕事場だ。ファンゲイルは魔王城に戻ったので、一人で中に入った。大音量の笑い声が襲ってきて、思わずのけ反った。


「けらけら」「きゃっきゃっ」「ひひ、ひひ」


 小部屋には結界が張り巡らされ、共食いしないようにそれぞれ隔離されていた。狭い空間だけど、皆くるくる動き回って楽しそうだ。

 姿形は『不死の森』にいたのと同じで、白いシーツを被ったような赤子サイズの死霊だ。小さい突起型の手が可愛らしい。

 部屋は二つあって、各十体ずつのゴーストが捕獲されている。


「じゃあさっそく――神託」


 自分が進化する時に何度もお世話になった、聖女の魔法だ。

 対象のギフトやスキルを、神様が教えてくれる。


『お告げ

 種族:ゴースト

 種族スキル:ケラケラ』


 私がヒトダマから進化した時は、他にもソウルドレインや火の息、ファイアーボールも使えたけれど、この子たちは最初からゴーストみたいだね。


 ゴーストは自然発生することが多い魔物だ。生物の死骸から抜け出した魂が、世界を漂っている途中で偶然寄り集まって形を成す。それがゴーストだ。

 『不死の森』や『不死の山』は瘴気、つまり空中に溶けだした闇魔力が多いから、特にゴーストが発生しやすい。


「ここにいるのは皆普通のゴーストだね~」


 ゴーストは戦う術を持たないから、戦力にはなりえない。

 続いて、進化条件を確認する。


『進化系譜

 進化先候補

 レイス(D)進化条件:LV30 必要素材:魂×1000 必要条件:願望

 サイレントゴースト(E+)進化条件:LV30 必要素材:魂×1000』


 私がレイスに進化した時と同じ内容だ。あの時は魂を集めるまで教えてくれなかったけど、今回は最初から確認できた。


「うーん、サイレントゴーストだったら魂食べさせれば簡単なんだけど……それはファンゲイルも知っているよね」


 そもそも、魂を千個集めればいいというのもファンゲイルが教えてくれたことだ。盗み聞きだけど!

 王国へ侵攻する際も、数体のサイレントゴーストが加わっていた。無音で忍び寄り、透過する身体を利用して物陰から命を刈り取る、厄介な魔物だ。


「研究っていうくらいだから、他の進化先を見つけないと……」


 レイスの必要条件である『願望』は、ゴーストに感情が芽生える必要があるということだと思う。目の前のゴーストをじっと見つめてみても、ケラケラ笑うだけで何かを考えているようには見えない。

 Dランク……レイスやエアアーマー、スカルナイトは知性のある魔物だった。Dランクだから知性があるというより、知性がなければDランクになれないということなのかな。


 知性の生み出し方を見つけられれば、レイスを作れる。


「おお、なんだか私、研究者っぽい!」


 ぐっと拳を握りしめる。

 魔物の生態には聖女として教会にいた頃から気になっていたんだよね。『神託』は人間のギフトを見抜いて導くだけの魔法ではない。魔物の名前やスキルを看破することもできたから、こっそり調べてたなぁ。

 人間や動物とは明らかに違う、魔物という存在に興味津々だった。今は自分が魔物だし、ゴーストの研究をしているんだから人生何があるか分からないね。


「よし、まずは知性を生み出す研究だ! あとは、他の進化先もあるか調べよう!」


 スケルトンはソルジャー、メイジ、アーチャーなど、様々な進化先に分岐する。

 ゴーストも、もしかしたら素材によって変わるかもしれない。


 忙しくなりそうだね!

 それに、私もまだCランクだからできれば進化したい。聖霊は特殊進化みたいだけど、これで終わりとは思いたくないよ。アンデッドになってB+ランクになったゴズメズや、Aランクのミレイユにスカルドラゴン、魔王のファンゲイル……上には上がいるもんね。


「アレン、私頑張るからね!」


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― 新着の感想 ―
[一言] 人類の敵になりそうだけど…魔物の研究面白そう…
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