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第85話 魔王懐柔?

「わうぅぅ?」

 首を傾げながら、可愛い声を出している魔王(推定)。


「おい、お前、そんな可愛い無害な犬ぶったって俺がいるから分かってるぞ」

 レオ様の言葉に残念そうな顔を浮かべる柴犬……。


「ちっ。俺様のこの愛くるしい見た目で油断させようと思ったのになー。そうだ、我こそが魔王だ!」

 トコトコと茂みから歩いて出てきた柴犬魔王が突然喋り出した。喋りながらも、へっへっへっと呼吸をしながら、視線はスープの方を向いている。


「魔王さん、スープ飲みたいのかなあ」

「どうやら、そのようですわね……」


 どうしよ。魔王って危険なのかなあ? どうみても、コロコロの仔犬だ。


「魔王さん、わたくし聖女なのですけど……」

「なにぃ!? 俺を討伐しにきたっていう聖女が、こんな可愛い子だと!?」

「可愛いなんてそんな照れますわ」

「まあ、俺の可愛さも負けてないだろう?」

「ええ、とても愛らしいですわ」


 なんだか聖女と魔王の褒め合戦が始まった。これってお互い素で褒めあっているんだよね? 油断させる作戦とかじゃないよねぇ?


 いつの間にか意気投合している聖女と魔王。

「こちらへどうぞ。ミアが作ったスープがありますわ」

「おお、そうか。ありがとな、聖女よ」


 うん。なんだかわたしが作ったスープが振る舞われることになったらしい。いいけどさ。いいけどさ〜?


『あれが魔王かー。俺っちには分かるぜ。あんな可愛い顔してても、強さが桁違いだぜ』

「そうなの?」

『おうよ、さすが王って感じだな』


 クロちゃんとおしゃべりしていると、魔王がこちらをくるりと向いた。

「そこのネコスライム。俺様の強さが分かるとはなかなか筋がいい。俺の配下になるか?」

『俺っちの心はミアねえちゃんに捧げてるからな! 残念ながら無理だぜ』

「ミアとは、このスープを作った女か?」

『そうだぜ! 魔力も飯もうまいから、完全に胃袋掴まれてるのさ! あ、俺っち胃袋なかった。スライムジョークな』

「ふぅん?」


 魔王さんにジロジロと見られている。

「小娘、俺の配下に……」

「だめだ。ミアは俺のだからな」

 ここで聖獣レオ様が登場! きゃー! そうよ、そうよ、ミアはレオ様のものなのよ〜!


「ちえっ」

「ところで、俺たちは魔王を討伐しに来たんだが」

「ああ、それな。討伐とかやめてほしいわ。せっかく転生したのに。もう昔みたいに暴れる気もないんだがなー」

「昔の行いが悪かったからな」

「どうしたら見逃してくれるんだ?」


 柴犬の可愛い可愛い愛らしい顔でヘッヘッヘっと息をしながらのおしゃべりをしている。

 傍目から見ていると気が抜ける。


「聖女の従魔になるとかはどうだ?」

「んー従魔なー。でも、そこの聖女のお嬢ちゃんで魔力足りるのか?」

「そこは聖女補正で、女神が助けてくれるはずだ」

「へっ、聖女補正な。聖女はどうなんだ? 配下に魔王を加える気持ちは?」


 柴犬のつぶらな瞳がクリスを見つめる。


「ま、魔王さんを従魔にですのっ!? こんなに愛らしいモフモフさんが、わたしの従魔になってくださるの?」

「不本意だがな、討伐されるよりはマシだわ。まだまだ力も戻ってないしな。それに、従魔になったら、街も屋台も楽しめるしな! 前回は屋台を楽しみたくて街に出たら全員避難しちまってよう」

「まあ、それはそうですわね……」

「それに、こんな金髪クルクルの可愛いお嬢ちゃんに飼われるっていうのもまたアリだしな……」


 おやおや。なんか変態っぽい発言出てきましたー。本当に大丈夫かいな? 


「か、可愛いなんて」


 クリスはあまり気にしてないようだ。照れてる。うん。クリスは可愛い。そこは魔王に全力で同意しよう。


「じゃあ、俺を飼ってくれるかな? 聖女サマ?」

「は、はいっ!」

「じゃあ、名前をつけてくれ、かっこいいやつな」


 なんか悪魔との契約みたいだな……。

 聖女補正があると言っても念のため、クリスに魔力ポーションを握らせる。


「あなたの名前は……。シュバルツですわ!」


 ピカ〜っと魔王が光ったのと同時に、わたし達四人の杖まで光りだした。

 アニメで強敵を倒すときの、必殺技みたいな感じになっている。真ん中には柴犬。


「くっ……。きついですわね」

 クリスは片手で魔力ポーションをごくごく飲む。わたし達は大丈夫みたいだ。やっぱりクリスがメインだからかな?


 ホッシーさんを従魔にした時よりも長い時間がかかっている。やっぱりあんなに可愛いみたい目でも、魔王なんだなあ……。


 ようやく光が止んだ時、そこにはなんと、手足が白い柴犬がいたのです!

 真っ黒だったのに、靴下履きのワンコに!


「ふぅ……。お? 俺様の手足が白くなってるな。さすが聖女」

「クリスティーヌですわ」

「おう、俺様はシュバルツだ! いいな、この名前。気に入ったぜ。これからよろしくな、クリスティーヌ」

「クリスって呼んでもいいですわよ」


 うんうん。素敵な可愛いクリスに、柴犬! 最高です! とりあえず、無事に魔王討伐(?)が終わってよかったぁ!


 

 


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