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第83話 帰郷、そして大晦日

 懐かしの我が家の庭に降り立つ。一年とちょっとぶりだ。

 ドラちゃんから駆け降りて、父さんと弟のケビンに抱きつく。


「ただいま!」

「ミアおかえり」

「みあしゃん、おかえりにゃさい」


 くう〜! 弟が可愛い。やっぱり我が家はいいなぁ。一年ちょっと離れていただけだけれど、すでに離れたくないもん。


 ドラちゃんの周りには、どこから現れたのか、王子の護衛の人たちやニコラスさんもいる。


「みなさん、ようこそ、我が家へ!」

「お世話になるわ」

「ここがミアの家かあ、たしかに『裏山』が魔の山だね……」


 皆、ぐるりと見渡している。うんうん。何もない田舎でしょう。でもこれがいいのですよ。


 わたしもぐるりと見ていると、家から遠く離れていないところに、小さな建物を発見した。

「あれ、母さん? あの建物は何?」

「ああ、あれは宿舎よ」

「宿舎?」

「ミアの友達や、護衛の方達を泊めるために作ったのよ〜」

「作った?」

「ええ、もちろん、母さんの手作りよ!」


 作った? 家を?

 さすが母さんは規格外だ。


「ミアちゃん、俺、お嬢の護衛だからあそこに泊まってるんだけど、すごい居心地よかったぜ。ミアちゃんのテントに似てた」

「貴様〜! ミアのテントに入ったのか!?」

「えっ! クリスお嬢の護衛のためですってば〜!」

 突然ニコラスさんを追いかけ始めた父さん。うん。仲良くなったみたいで何よりです。


 それにしても母さんはすごいなあ。

 これでみんな野営しなくて良くなったね!


 このあと、みんなをそれぞれの部屋に案内して、荷解きをして、旅の疲れを癒すことにした。

 家に帰ると、幼馴染のカイトと、カイトのお父さんが来ていた。

「あっ、おじさんお久しぶりです! カイトも久しぶり!元気だった?」

「ミアちゃん久しぶり。無事に魔法学園につけたみたいで良かったよ」

「ふふふん。余裕でしたよ? なんちゃって。その節は本当にお世話になりました……」

「金貨をジャラジャラ出す子どもを旅立たせていいのか不安だったけど、良かったよ」

「ミア、そんな危ないことしてたのか?」

「だって、そもそもお金をあの日まで見たことなかったんだもん!」

「あー……。まあ、村じゃ使わねえもんな」

「そうそう」

「ところで、王子や貴族の息子達が来てるって聞いたけど、本当か?」

「そうだよ。友達になったの。あと、レオ様っていうモフモフのふわふわの聖獣様も、可愛い女の子達も来てるよ!」

 にしししと笑って答える。


 わたしの友人達は、村に住んでいると出会えないレベルの美少女なのだ。ふふふん。


「まあ、美少女はいいや」

「えっ、なんで!? はっ、イケメンの方が良かった? 大丈夫、王子達もキラッキラしたイケメンだから」

「ふーん。そっかー」

 無表情を決め込んでいるけれど、イケメンの方が気になる様子だ。ほほう。


「ところで、そこで溶けてるのはミアの従魔か?」

「そうだよ」


 みんなでこたつに入ってみかんを食べながら話をしているのだけれど、従魔達が完全にだらけている。

 ライくんなんてペラッペラだ。


「ネコフクロウのクロちゃんに、ネコスライムのライくん、ニャムスターのホッシーさんです。ほら、みんな、ごあいさつ!」

『ほう。主の幼馴染。また会ったな』

『幼馴染か〜。くう〜いいねいいね! よろしくな!』

『にゃにゃにゃ。どうもなのにゃ。お近づきの印に、これあげるにゃ』

 ちょっと唾液でベトついたナッツを、カイトに握らせるホッシーさんに、完全に困っている。


『あ、今、割ってあげるにゃ』

 そう言って、またカイトからナッツを取り返して、割ってから握らせていた。


「ミア、この子なんて言ってるの?」

「お近づきの印にどうぞ、って言ってるよ。そのナッツ、王宮の庭になってたやつだから美味しいよ」

「そっか。ありがとな」


 ホッシーさんをポンポン撫でて、ナッツを食べるカイト。我が幼馴染、素直で良い子だ。


 それから数日、我が家の庭を案内したり、魔王討伐の作戦を立てたり、お菓子作りをしたり、畑仕事をしたり、のんびりと過ごした。

 魔王討伐は年が明けてからだ。


 そして、あっという間に大晦日。

 みんなで打った蕎麦を食べながら、外でバーベキューだ。なんだか組み合わせがおかしいけれど、しょうがない。人数分の天ぷらを揚げるのは大変だからね。

 よく屋外カフェにあるようなストーブもたくさんあるので、結構あったかい。


 王子の護衛の人たちは、辺境にいる間に一生分のワイバーンを食べておくのだと言って、ひたすらワイバーンを食べている。

 護衛、いいの?


 余興で、クリスとヴィーちゃん、わたしとヒマリの変身ポーズコラボも見せることになった。家族や護衛さん達からは好評だ。

 男子陣は羨ましいのか、複雑な表情をしている。彼らもスーパーヒーローシリーズが必要かもしれない。


 たくさんの友達に囲まれて、家族もいて、従魔達がいて。もふもふの聖獣レオ様までいて、なんだかとても幸せな一年の締めくくりだなあと思う。


 来年も素敵な一年になりますように!

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