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第82話 ドラちゃん空の旅

 クリスマスパーティーの翌日、母さんがピンクのドラゴン、ドラちゃんに乗って迎えにきてくれた。


 結局、魔の山へ行くのはいつものメンバーだ。女四人(わたし、クリス、ヒマリ、ヴィーちゃん)、男四人(ルイス、オーランド、アンディ、イーサン)。そして聖獣レオ様!

 王子達の護衛や、クリスの護衛のニコラスさんは、一足先にうちの実家の近くの村に移動しているらしい。マッチョな村人と仲良くなってると良いけど。


 ヒマリも両親に会いに帰りたかったみたいだけれど、箒で旅をするにしても護衛がいないと危ないし、馬車で行くなら時間がかかってしまうので諦めたのだ。

 でも、魔王討伐で余裕があれば、帰りにヒマリの街にも寄りたいよね! アンディも里帰りしたいだろうし。


 母さんがドラちゃんから降りてこちらへ歩いてくる。

「母さん!」

 走り寄って抱きついてしまう。

「あらあら、ミアは甘えん坊ね」

「えへへ」


 後ろを見ると、ルイスが「いいないいないいないいな」と視線で訴えかけてきていた。気付かなかったふりをしておこう。


「さ、魔の山まで、ドラちゃんでひとっ飛びするわよ! みんな背中に乗ってちょうだいな」

「「「はい! よろしくお願いします!」」」


 ドラちゃんの上には鞍がついていて、座って乗れるようになっている。シートベルトもついていた。


「ドラちゃん、よろしくね」

 そう声をかけると、目をパチパチして返事をしてくれた。気がする。瞳孔が縦長でかっこいい。


 人間九人、聖獣に、従魔たち。みんな乗っても余裕の広さがあるドラちゃんの背中。

 いざ、魔の山へ出発〜!

 ふわりと浮かぶドラちゃん。猛スピードで飛び始めたけれど、上に乗っている

わたし達は風を感じない。


「おお、寒くないし、顔に風を受けたりしないんだね」

「ドラちゃんが風魔法で覆ってくれているのよ」

「すごいなあドラちゃん。かっこいい!」

『ドラ姐さんかっこいいぜ〜!』


 いつの間にか、ライくんはドラちゃんの頭の方へ移動して、仲良くおしゃべりしている。

 いつも思うけれど、ライくんのコミュニケーションスキルが高すぎる。

 クロちゃんは自分で飛ぶより速すぎて、ビックリして目をパチパチさせている。可愛いクロちゃんを引き寄せて、なでなで。


『主、我はこんなに速く飛べないぞ』

「うんうん。人それぞれ、ああ違った、魔物それぞれだからねえ」

『むぅ……。でももっと速く飛びたいぞ! ちょっとコツを聞いてくる』

 そう言って、クロちゃんまでドラちゃんの頭の方へ行ってしまった。寂しい。


 残るはホッシーさんだ。チラリと見ると。ドラちゃんの上なのに完全にリラックスしてお菓子を食べているホッシーさんがいた。

 ホッシーさんのお食事をじっと見つめる。

 もぐもぐ。もぐもぐ。頬袋からおやつを出して、また、もぐもぐ。


『うみゃ? ミアちゃんも食べるかにゃ?』

 ホッシーさんが、ちょびっと唾液で光るナッツを、わざわざ殻を剥いて分けてくれた。せっかくなので頂く。

「おお! 美味しい! このナッツどうしたの?」

『この前、お城の庭で拾ったにゃ』

「ああ、あの時のか〜」


 もぐもぐと食べている。

 そんなホッシーさんを見ていたら、みんなリラックスしてきたのか、お腹が空いたのか、それぞれ鞄からおやつを出して食べ始めた。


「あらあら、ミアの友達は、みんな食いしん坊ね」

「旅におやつは大事だからね!」

「じゃあ、わたしからもおやつを配りましょう」


 そう言って母さんが配ったのは、干し柿と干し芋だった。チョイスが渋い……!

でもこれ、美味しいんだよねぇ。

 どっちも魔の山産の素材なので、もう、信じられないくらい美味しいのよ。


 いつの間にか、クロちゃんとライくんもおやつに釣られて戻ってきた。


 干し柿は、濃縮された甘みが最高……!このもっちりした噛みごたえも最高。

 干し芋はねっとりうまぁ〜!


 やっぱり、学園を卒業したら魔の山に戻ってスローライフが一番だなあと、おやつを噛み締めながら思う。

 なんだかんだ、こういうシンプルなおやつが一番美味しいのだ!


『うまぁ、うまぁ、うまいにゃーーーー!』

 ホッシーさんの食いつきもすごいし。従魔達も幸せになるだろう! 


『ドラ姐さんにも分けてくるぜ』

 ライくんはそう言って、おやつを持ってドラちゃんの頭の方へ行き、頭の上から触手で上手に口におやつを放り込んでいた。


 おやつを食べたドラちゃんは上機嫌になり、ビューンと更に速度を上げて飛び始めたため、魔の山まで、あっという間についてしまった。


「うわぁ、ドラちゃん速いねぇ。もう魔の山! 懐かしいなあ!」


 そう言ってドラちゃんから見る山は、雪化粧をしていて、なんだかとても綺麗だった。


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